新たな価値の提供
イノベーション
豊かで持続可能な社会実現のための新たな価値の提供
クリーンテックへの取り組み
方針(基本的な考え方)
日油は、持続可能な社会と経済成長の両立に向け、クリーンテック(日油グループが目指す3分野に該当する技術)の開発に力を入れています。「ライフ・ヘルスケア」、「環境・エネルギー」、「電子・情報」の3分野において市場ニーズの変化に柔軟に対応し、さらなる新製品・新技術開発の加速、生産性の向上に取り組んでいます。
人生100年時代において、健康寿命延伸による社会保障費の抑制、高齢者の生活の質向上など、健康に関わる社会課題の解決が強く求められています。また、映像デバイスやスマートフォンの高画質化、情報通信技術の高速・大容量化、自動車のEV化への加速など、電子素材への要求性能はますます高まっています。このような社会的ニーズに基づき、研究本部では、全社的研究戦略の企画・立案を担うとともに、新規事業創出に力を注いでいます。
社会課題解決に資する事業を発掘するため、近年は公募や産学官連携などの社外協創を加速しています。社外公募による事業化に向けたプロジェクト「日油 産学委託研究公募」は、2023年度は医療・医療機器分野の素材や技術のうち、今後の市場成長と日油の技術活用が見込まれる4つの領域において募集を行い、日油での事業化の可能性などを評価、審査した結果、3つの素材や技術を採択しました。採択者には委託研究費を提供し、社会貢献に向けた研究を進めています。
2024年1月には、ユニバーサルマテリアルズインキュベーター㈱のベンチャーキャピタルファンドへの出資も行いました。出資先企業をパートナーとして、有望技術を育成します。さらに、同年4月には産総研グループ(国立研究開発法人産業技術総合研究所および㈱AIST Solutions)と共同で「日油-産総研 スマート・グリーン・ケミカルズ連携研究ラボ」を設立。両者の技術の融合により、環境調和型の製品開発を推進します。これらの連携により、既存の領域にとらわれない新たな技術を創出します。
日油グループの差別化技術と製品群
目指す3つの分野の研究開発
化学素材分野のイノベーションへの期待が高まるなか、目指す3分野において、新技術・新製品の開発に取り組んでいます。
環境・エネルギー分野

地球温暖化によりエアコンや冷蔵庫の需要が高まると、冷凍機用潤滑基材やエアコンパテ用ポリブテンの需要が期待できます。また、アジアを中心に開発の気運が高まる洋上風力発電では、海洋汚染を防止するため、天然油脂由来の原料を使った生分解性潤滑油、ボルト用防錆剤など環境貢献製品のニーズが高まっています。さらに、EVが主流になることで、LEDヘッドランプ用防曇剤、静かな車内を保つための異音防止剤など、高機能製品の開発が期待されています。
ライフ・ヘルスケア分野

医薬では、精密合成・高度精製技術などを通じて、DDS素材として機能性脂質や活性化PEGをバイオ医薬品向けに展開。抗体医薬品・核酸医薬品用に単分散PEGや核酸送達用イオン性脂質を開発しています。医療では、LIPIDURE®Seriesをアイケア、診断薬、医療機器に活用するほか、再生医療向け高機能素材を開発しています。化粧品では、生体適合性素材や天然の生体有用物質、界面制御技術、配合設計技術などの豊富な知見を有しており、高機能化に対応しています。
電子・情報分野

情報通信分野では、通信の高速大容量化に伴って、低誘電材料用硬化剤のニーズが増加するとともに、電子部品の小型化によって高感光性材料や電子部品用添加剤の需要も高まっています。自動車のEV化においても、電子部品の小型化が求められるため、これら製品の高付加価値化を進めています。また、EV化ではディスプレイの増加や大型化により、液晶カラーフィルター用オーバーコート材の需要増加が見込まれています。
社外との協創
社外との協創
「日油-産総研 スマート・グリーン・ケミカルズ連携研究ラボ」の設立
化学の力で新たな価値を協創するというビジョンを掲げ、オープンイノベーション活動を積極的に推進しています。

日油と産総研グループ(国立研究開発法人産業技術総合研究所〈以下「産総研」という〉および㈱AIST Solutions)は、2024年4月1日に、「日油-産総研スマート・グリーン・ケミカルズ連携研究ラボ」を産総研つくばセンター中央事務所に設立しました。
この連携研究ラボでは、日油の独自技術と産総研グループの保有する基盤技術やノウハウを融合することで、環境調和型の化学品製造プロセスの開発を進め、脱炭素と生活の豊かさに資する機能性化学品(スマート・グリーン・ケミカルズ)の創出を推進します。また両者の人材や技術の有機的な交流を図り、次世代を担う技術人材を育成します。これにより、化学の力で新しい価値を継続的に社会へ提供するとともに、サステナブルな化学産業の実現とその発展に貢献していきます。
環境貢献製品
世界共通の課題である気候変動や生物多様性などに対し、日油グループが目指す3分野に該当する技術(クリーンテック)の研究開発を進め、さまざまな環境貢献製品を生み出しています。

日油グループの製品のうち、気候変動や生物多様性など
自然環境または社会環境の課題の解決に(直接・間接的に)貢献する製品
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