環境

大気への排出

方針

方針(基本的な考え方)

日油グループでは、レスポンシブル・ケアに関わる経営方針に従い、大気汚染防止のための取り組みを積極的に行っています。
 

  1. 操業に伴い発生する大気への排出物を管理し、法規を遵守しています。
  2. 大気排出物の低減を目指し、目標を設定し技術的改善を継続しています。
  3. 地域住民への影響を考慮し、環境負荷を最小限に抑えます。
     

方針の根拠
方針①:製造における業務指針8項

「環境負荷の低減のため、操業に伴い発生する大気および下水処理場・河川・海域への排出物ならびに産業廃棄物等に関わる管理体制を整え、関連法規を遵守する」
方針②:製造における業務指針8項
「排出物の低減ならびに産業廃棄物の減量・減容・回収・処理および分別の容易化等に関する目標を設定し、技術的改善を継続して実施する」
方針③:製造における業務指針7項
「当該製品の製造に関わる地域住民の懸念に十分注意し、コミュニケーションを深めるとともに、適切に情報を提供し得る体制を定めること」

大気汚染の防止

日油グループではレスポンシブル・ケアに関わる経営方針に従い、大気汚染の防止のために、ボイラーなどの燃焼施設の排気ガスに含まれる硫黄酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)、ばいじん※などを測定し、国および地方自治体の環境基準を厳しく遵守しながら、運転管理を行っています。
現在、SOxの排出原因であるA重油ボイラーの都市ガスへのエネルギー転換などの削減計画を進めています。 また、大気への排出に関する法令違反は発生していません。

排気ガス モニタリング項目の推移 (トン/年)
 

分 類 2021年 2022年 2023年 2024年
日油 SOx 1.9 2.6 4.9 2.1
NOx 48.0 49.1 52.9 40.6
ばいじん 1.1 0.9 0.9 0.9
国内グループ SOx 3.3 4.4 6.5 3.4
NOx 49.6 50.6 54.4 41.1
ばいじん 1.1 0.9 1.0 0.9
日油グループ SOx 4.6 6.5 8.2 4.7
NOx 55.3 55.4 58.1 45.8
ばいじん 4.1 4.6 2.6 4.4
法令違反数(件)
0 0 0 0
工場、事業所から発生する粒子状物質のうち、燃料その他の物質の燃焼時に伴い発生する物質。

PRTR法対象物質

国内グループの2024年度の排出量は135.1トンで、前年度の167.0トンから約19%減少となりました。これにより、中期目標の基準年度である2010年度の269トンから約50%の削減となりました。
PRTR法対象物質のうち、排出量10トン以上は表のとおりです。

環境排出量の多い物質(10トン以上) [対象範囲:国内グループ]
 

政令番号 名称 排出量(トン/年)
186 ジクロロメタン 37.4
300 トルエン 29.2
128 クロロメタン 15.4
83 クメン 15.0
       総排出量 135.1

PRTR法対象物質の排出量削減施策

日油は、PRTR法対象物質の排出量を毎年170トン以下にすることをKPIに掲げています。特に、環境排出量の多い物質の削減に向けて、PRTR法対象物質を使用しない製法の検討を行っています。代替物質や環境に配慮した製法の採用により、排出量を削減することを目指しています。
また、排出物の回収率を向上させるために、回収装置の運転条件を最適化しています。定期的なメンテナンスや適切な運転管理を行うことで、効果的な回収が実現され、排出量の削減につなげています。
日油は引き続き、PRTR法対象物質の排出量削減に取り組み、より環境に配慮した製造活動を推進していきます。これにより、持続可能な社会の実現に貢献し、地球環境の保護に努めていきます。

PRTR法対象物質排出収支の推移は、日油は2002年度338、2020年度100.8、2021年度117.4、2022年度109.0、2023年度129.2、2024年度99.9、日油グループは2002年度371、2020年度146.7、2021年度154.7、2022年度143.3、2023年度167.0、2024年度135.1、単位はトン/年です。

PRTR法対象物質排出量の推移
[対象範囲:国内グループ]

PRTR法対象物質の物質収支を表した図で、総取扱量21812トン、場内処理1265トン、環境への排出は、大気への放出134トン、土壌への放出0トン、水域への放出1トン、外部処理業者による場外処理548トン、再資源化38トン、製品に19826トンです。

PRTR法対象物質排出収支(2024年度)
[対象範囲:国内グループ]

VOC(揮発性有機化合物)

VOCは、大気汚染や光化学スモッグの原因となる物質であり、日油はその排出を抑制することが社会的責任であると考えています。
日油は、VOCについても排出量の把握・削減に取り組み、国内グループの2024年度の排出量は190トンとなりました。
日油は、持続可能な社会の実現に向けた環境保護活動の一環として、VOC排出量削減を重要課題の一つと位置付け、プロセス改善、設備導入に積極的に取り組んでいます。また、技術革新や研究開発を通じて新たな削減手法を模索し、持続可能な社会の構築に取り組んでいます。
 

VOC(PRTR+日化協:303品)の排出量 [対象範囲:国内グループ]

  • 2024年度:日油 142.8トン/年、国内グループ 189.8トン/年

日化協自主管理物質

国内グループでは、(一社)日本化学工業協会(日化協)が推奨するVOC自主管理物質についても排出量の把握・削減に取り組んでいます。2024年度の排出量は56トンで、前年度の58トンから約4%の減少となりました。 

VOC日化協自主管理物質排出量の推移は、日油は2020年度100.8、2021年度102.4、2022年度64.4、2023年度43.0、2024年度43.7、日油グループは2020年度113、2021年度109、2022年度79、2023年度58、2024年度55.5、単位はトン/年です。

VOC日化協自主管理物質排出量の推移
[対象範囲:国内グループ]

有害大気汚染物質

有害大気汚染物資は、低濃度ではあるが長期曝露によって人の健康を損なうおそれのある化学物質です。2010年10月の中央環境審議会答申(第9次答申)において見直された化学物質リストから15種類について、排出量の把握・削減に取り組みます。
国内グループの2024年度の排出量は89トンとなりました。VOCと同様に、排出量削減を重要課題の一つと位置付け、プロセス改善、設備導入に積極的に取り組んでいます。また、技術革新や研究開発を通じて新たな削減手法を模索し、持続可能な社会の構築に取り組んでいます。
 

有害大気汚染物質(優先23物質のうちVOCと重なる15物質)の排出量 [対象範囲:国内グループ]

  • 2024年度:日油 56.6トン/年、国内グループ 89.1トン/年

フロン類の排出抑制

フロン類の製造から廃棄に至るライフサイクル全体を対象とした「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律(フロン排出抑制法)」に基づき、日油は法で定められた簡易点検、定期点検を計画どおり実行しています。 また、2024年度のフロン類算定漏洩量は川崎事業所2,118トン-CO₂e、愛知事業所は622トン-CO₂e、尼崎工場は32トン-CO₂eとなり、日油全体では2,775トン-CO₂eとなりました。 引き続き、点検・整備の強化や、機器廃棄時の適切な処理に加え、地球温暖化係数やオゾン層破壊係数の低い冷媒を使用した機器への置き換えを進め、フロン類漏洩量の削減に努めていきます。

フロン類の算定漏洩量(2024年度)
 

事業所 排出量(トン-CO₂e)
尼崎工場 32
愛知事業所 622
川崎事業所 2,118
大分工場 3
合計 2,775

リスクと機会

大気への排出におけるリスクと機会

日油グループは、大気排出に関するリスクと機会を認識し、それぞれに対策を講じています。移行リスクとして、国内外の規制強化は、設備投資によるコスト増大や、既存製品の製造停止による機会損失につながる可能性があります。また、規制への対応遅れや環境対応型製品の開発の遅れは、投資家や顧客、地域住民からの評判の低下を招き、日油グループの評価を悪化させるリスクも抱えています。
物理リスクとしては、台風や噴火といった自然災害による設備損傷が、生産活動の停止や売上減少に直結する可能性があります。
一方で、大気汚染の緩和に貢献する製品のニーズ拡大は、日油グループにとって機会となります。水系防錆剤やセメントカプセルなどの環境対応型製品の開発は、日油グループの評価向上につながり、新たな市場機会の獲得にもつながると考えます。

大気への排出におけるリスクと機会
 

分類 主要なリスク・機会 概要 対策
移行リスク 国内外の規制強化
  • 新しい規制が導入されることにより、それに対応するための設備の拡充や管理体制の強化が必要となり、それに伴う管理コストが増大する
  • 新しい大気排出規制の導入により、これまでの製品の製造が不可能となり、機会損失により売上減となる

①排出量削減施策の創出と実行

  • VOC回収設備の能力増強

②製造プロセスの再評価

評価・評判の悪化
  • 規制への対応遅れや、環境対応型製品の開発遅れによって、投資家からの評価や、顧客、地域住民からの評判が悪化
  • 取り組み内容の情報開示拡充
物理リスク 自然災害
  • 台風や暴風雨などによる設備損傷により、
    回収設備の稼働が困難となり、それに伴い生産活動が停止することで、機会損失が発生し売上減となる
  • VOC回収設備の能力増強
  • 富士山の噴火による火山灰の放出による設備損傷
  • 自然災害はBCPで対応
機会 大気汚染の緩和に貢献する
製品のニーズ拡大

【大気汚染の緩和】

  • 水系防錆剤、セメントカプセル
  • 環境対応型製品の開発・提供
評価・評判の向上
  • 積極的な排出管理対策、貢献製品の開発・提供により、投資家からの評価や、顧客、地域住民からの評判が向上
  • 取り組み内容の情報開示拡充

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