社会

労働安全衛生

方針

労働安全衛生の推進

日油グループは、労働安全衛生の推進を、「5つの安全」に分類したRC活動の中の「労働安全」に関する活動として、活動目標を共有し取り組み、RCマネジメント体制に基づいて、各事業所の協力会社も含めて、グループ一体となった活動を展開しています。 

労働安全衛生方針

日油グループは、労働災害の撲滅を目指し、外部業者を含むグループに関係する労働者全員が、安全に安心して働ける職場をつくる決意を明確にし、理想を実現するために、2006年4月に労働安全衛生方針を定めました。この方針のもと、労働安全衛生マネジメントシステムを整備するなど、事業所、工場ならびにグループ会社ごとに、活動を展開しています。

労働安全衛生方針

基本理念
私たちは、化学企業グループとして『安全なくして事業の存立はない』との理念のもと、従業員と地域社会の「安全」と「健康」の確保に努めます。全ての役員ならびに従業員は、レスポンシブル・ケア活動に則り、緊密な業務連携のもとに『安全で安心して働ける職場』を構築し、積極的に労働安全衛生活動を推進します。
 

基本方針

  1. 労働安全衛生に関する適切な自主管理システムを整備して、必要な管理と改善を継続します。
  2. 作業環境の改善と設備の本質安全化を推進し、労働環境の変化を先取りしたリスク低減活動により労働災害の根絶を目指します。
  3. 関連法規や自主的に定めた規定・基準を遵守します。
  4. 快適な職場環境の形成に努め、健康保持・増進を支援します。
  5. 労働安全衛生方針を全従業員に周知徹底するとともに、毎年あるいは必要に応じて見直します。
     

本方針は、広く一般に公開します。                                     
 

(2015年4月 改定)

労働安全活動(RC活動)

日油の事業所、工場ならびにグループ会社における労働安全活動状況は、定期的に実施されるRC監査の中で確認されます。RC監査には、労働組合やグループ会社からも監査員が参画し、監査とともに、グループ全体のRC活動の活性化を図っています。その結果はRC委員会へ報告されるとともに、労働組合とも共有され、労使一体となった活動を展開しています。
また、日油グループでは従業員の安全と健康を確保するため、安全教育が重要であるとの認識のもと、安全衛生管理体制のさらなる充実、安全教育の促進など安全活動の強化を図っています。

RC活動目標

2024年度の安全活動結果と2025年度のRC活動目標

2015年度より「完全ゼロ災」※を目標に掲げ、労働災害ゼロを目指して活動を進めています。2024年度は死亡事故を防ぐことができましたが、労働災害が18件発生し、目標達成には至りませんでした。特に、「はさまれ・巻き込まれ」による災害が7件発生しており、引き続きこの分野での取り組み強化が求められています。2024年度は、RC活動目標の重点課題として「不安全行動、不安全状態の撲滅」に取り組みましたが、勤続1年以下の従業員による災害が8件発生するなど、安全教育のさらなる強化が必要な状況です。この課題を受け、2025年度は以下の取り組みを重点的に推進します。
 

  • 基本的安全行動」の実践強化
    単なる徹底ではなく、個人が主体的に行動できる「実践」へと進化させます。
  • 「はさまれ・巻き込まれ」災害の防止
    業務手順の見直し、災害リスクの分析、作業環境の改善を進めます。
  • 新入社員を含む体感型教育の早期導入
    危険に対する感性を高める体感教育を研修に組み込み、職場での安全行動を促進します。
     

これらの活動により、「完全ゼロ災」の達成と、安全文化のさらなる浸透を目指します。
 

休業および不休業災害ともにゼロとする日油グループ独自の取り組み目標
2025年度 日油グループRC活動目標、労働安全実施項目

[RC活動目標]
労働災害:完全ゼロ災
交通災害:加害・自損災害ゼロ
 

[重点課題]
全員参加と先取りによる

  • 不安全行動、不安全状態の撲滅(はさまれ・巻き込まれ災害発生防止に注力)
  • 交通災害の撲滅
     

①危険に対する感性の向上と 基本的安全行動の実践

  • 労働安全教育・訓練の実施
  • 危険予知能力の強化
     

②災害リスクの低減
[労働安全]

  • 三現主義に基づく対策の強化
  • 安衛則※改正への確実な対応
     

[交通安全]

  • 加害・自損災害の原因の深掘り
  • 気付きを促す教育の強化
     
労働安全衛生規則

交通災害の撲滅

2024年度における交通安全活動では、通勤災害や業務上の交通事故の低減を目標に、事業所や関係会社ごとに独自の活動を展開しました。具体的には、「交通安全週間パンフレット配布」「警察署による安全講話」「交通スローガン横断幕掲揚」「交通ヒヤリマップの作成・周知」などを継続して実施しました。これらの取り組みにより、2024年度の加害・自損災害は9件(前年度比3件減少)、通勤災害や業務上交通災害の合計も22件(前年度比7件減少)と改善が見られました。しかし、目標達成には至らず、さらなる取り組みが求められています。
2025年度は、全員参加型の交通安全活動を通じて、交通災害ゼロを目指します。

一人がバケットシートに座って自動車の運転シュミレーターで操作訓練をしています。別のもう一人が装置の操作をサポートしています。

運転シミュレーター教育(大分工場)

一人が自転車風の装置に座って自転車シュミレーターで操作訓練をしています。別のもう一人が装置の操作をサポートしています。

自転車シミュレーター教育(尼崎工場)

リスクと機会

労働安全衛生におけるリスクと機械
 

分類 リスク項目 概要

対応(実施項目)

リスク 労働災害
  • 製造工程で有毒物の吸入や化学物質による負傷によって従業員に直撃する重大事故が発生し、死亡ないし後遺症を負った本人や親族から賠償請求された

①危険に対する感性の向上と基本的安全行動の徹底

  • 労働安全教育・訓練の実施
    (2024年度:のべ時間26,226時間)
  • 基本的安全行動ガイドラインの制定と周知
  • 重点課題「転倒、薬傷災害の防止」の展開

②災害リスクの低減

  • 三現主義に基づく対策の強化
    (2024年度:RC監査20回)
  • 安全点検の日(8月1日)の総点検の実施
    (2024年度:日油34部門、関係会社31箇所)
化学物質の取り扱いミス
  • 従業員が危険有害性のある化学物質の取り扱いを誤り、化学物質同士の混触により中毒ガスが発生し、それを吸引した複数の従業員が中毒症状となった

①危険に対する感性の向上と基本的安全活動の徹底

  • 製品安全教育・訓練の実施
    (2024年度:のべ時間2,249時間)
  • 化学物質RAの実施
    (2024年度:日油1,498件、関係会社782件)

 

②災害リスクの低減

  • 三現主義に基づく対策の強化
    (2024年度:RC監査20回)
交通事故
(業務中の人身事故)
  • 日油グループ社員が運転するトラックが、輸送中に人身事故を起こし、相手が多数死亡して社会的な評価が大きく毀損した。また、高額の損害賠償が必要となった

①危険に対する感性の向上と基本的安全活動の徹底

  • 交通安全教育の実施
    (2024年度:のべ時間26,226時間)

 

②災害リスクの低減

  • 加害・自損事故の原因と分析
    (2024年度:運転シミュレーター、
     実地講習、視聴覚教材教育など)
交通事故
  • 従業員が出退勤途中に交通事故を起こし、本人が死傷したほか、通行中の第三者を死傷させた
物流事故
  • トラック輸送中の事故で積み荷の危険物が道路に散乱し、周辺道路が一時通行止めとなり、納期遅延によって損害賠償請求された

①物流会社への安全指導

  • 物流安全教育・訓練の実施
    (2024年度:のべ時間3,115時間)
保管中の損傷事故
  • 倉庫内における容器の破損などにより、保管中の製品や倉庫の資機材などが滅失・損傷したほか、従業員が負傷した
火災・爆発
  • 事業所で大規模な火災・爆発事故が発生した。設備・機械などに甚大な損傷が発生したほか、複数の従業員が死亡・負傷し、周辺地域の民家などにも爆風で被害が出た。多額の損害賠償や違約金が生じた上、長期にわたる操業停止を招いた

①防災・保安対策の強化

  • 設備安全教育・訓練の実施
    (2024年度:のべ時間390時間)
  • 異常気象時・長期連休時の注意喚起
    (2024年度:気象関連5件、長期連休3件)
  • 安全・防災設備の投資
    (2024年度:防災、安全作業、風水害対策など)

 

②新設・変更時の安全評価の実施

  • SAの実施
    (2024年度:日油74件、関係会社47件)
整備・点検の不良による
設備・機械の損傷・故障
  • 工場で、高圧ガス設備、クリーンルームや真空乳化機などの重要な設備が破損して長期間操業が停止し、売上が減少した
機会 労働安全衛生に貢献する
製品のニーズ拡大
【熱中症予防】示温材
【薬傷予防】有害物質不使用製品
      (ノニルフェノール代替製品)
  • 労働安全衛生対応型製品の開発・提供

防止と軽減

安全・防災設備投資

日油グループでは、安全・防災関連対策として、爆発・火災・漏洩などを含めた事故防止対策、労働安全・作業環境改善対策などの設備改善工事を計画的に進めています。また、今後発生が予想されている大地震に備え、建物の耐震補強工事も計画的に進めています。

主な安全・防災設備投資(2024年度)

 

事業所 目的 内容
尼崎工場 安全作業 高所作業リスク低減対策、重量物吊具装置の設置、緊急用シャワー新設
千鳥工場 防災 防災用無線機増強、非常用発電機新設
大分工場 台風・大雨対策 建屋屋上防水対策
武豊工場 保安 入室管理システム導入、防犯カメラ増強
衣浦工場 作業環境改善 衛生設備改修、空調設備増設、換気設備増強

2024年度労働災害の発生状況

労働災害発生実績(2024年度)

 

指標 対象 2022年度 2023年度 2024年度
死亡、機能損失災害(人)※1 日油本体(日本) 0 0 0
関係会社 0 0 0
(内訳) 日本 0 0 0
アジア 0 0 0
米州 0 0 0
欧州 0 0 0
場内協力会社 0 0 0
死亡、機能損失災害度数率※4 0.00 0.00 0.00
休業災害(人)※2 日油本体(日本) 1 1 1
関係会社 0 1 2
(内訳) 日本 0 1 2
アジア 0 0 0
米州 0 0 0
欧州 0 0 0
場内協力会社 0 1 2
休業災害度数率※4 0.17 0.50 0.80
全災害(人)※3 日油本体(日本) 1 3 9
関係会社 3 3 8
(内訳) 日本 3 3 7
アジア 0 0 1
米州 0 0 0
欧州 0 0 0
場内協力会社 2 2 2
全災害度数率※4 1.01 1.35 3.06

  1. 機能損失災害:負傷が治った時に障がい(障害等級5級以上)が残る災害
  2. 休業災害:休業1日以上の災害
  3. 不休業災害を含むすべての災害
  4. 度数率=延べ労働損失人員数/延べ実労働時間数×1000

注意喚起の実施

労働安全活動の一環として、RC活動を統括する設備・環境安全統括室より、定期・不定期に労働安全に関する注意喚起、安全活動に関する指示事項の通知や調査などの文書を発信し、グループ各社へ展開しています。定期的には、長期連休に対する安全・保安対策の実施、夏季の熱中症対策の徹底など、また、不定期には災害発生時や台風接近時など、必要に応じて追加の注意喚起や対策の指示などを行っています。このような注意喚起などの事項については、設備・環境安全統括室により対応状況の集約が行われ、RC監査などの機会にフィードバックを行うことで安全対策の強化、意識の向上を図っています。

災害発生時の原因究明·再発防止策の実施と情報の水平展開

労働災害が発生した場合、速やかに原因究明を行い、応急対策および恒久対策を計画・実行することが重要です。また、これらの情報はグループ各社と共有し、水平展開を通じて類似災害の防止に取り組んでいます。2024年度には、「はさまれ・巻き込まれ」災害の防止を重点課題とし、全社的な安全活動を推進しましたが、残念ながら7件の災害が発生しました。この結果を受け、2025年度はさらなる対策強化を進めていきます。
特に「はさまれ・巻き込まれ」災害については、発生状況を詳細に分析し、リスクの高い作業や状況における具体的な予防策を策定します。また、勤続1年以下の従業員による災害が多発していることから、早期の安全教育と体感型研修を導入し、従業員一人ひとりの安全行動を強化します。これにより、「完全ゼロ災」の実現を目指します。
さらに、2025年度は、基本的安全行動の実践を進めるための「日油グループ安全基準ガイドライン」を活用し、全員参加による安全文化の浸透を図ります。特に、経験の浅い従業員を対象にした体感教育を早期に研修プログラムへ組み込み、危険に対する感性の向上と安全行動の徹底を図ります。
これらの取り組みを通じて、発生する災害リスクの低減と再発防止を徹底するとともに、グループ全体で安全文化をさらに深めることを目指します。

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