環境

気候変動への対応

方針

気候変動に関する方針

温室効果ガス削減の方針

気候変動は、主に化石燃料の消費による温室効果ガスの排出増加に起因しています。この悪影響は、豪雨や洪水などの自然災害の増加、食糧資源や水資源の減少、猛暑や感染症の発生などに表れており、私たちの生活や生態系に大きな脅威をもたらしています。
私たちは、パリ協定で定められた目標である平均気温上昇を2℃よりも十分に下回ること(2℃目標)や、可能な限り1.5℃まで抑える努力を支持しています。
気候変動の緩和と脱炭素社会の実現に向け、私たちは、2050年までにカーボンニュートラルを達成することを目指し、温室効果ガス(GHG:Greenhouse Gas)排出削減中期目標として、2030年度までに2013年度比で40%以上の削減を掲げ、温室効果ガスの排出削減に積極的な取り組みを行います。
私たちは、自社の温室効果ガスの排出削減に注力するだけでなく、サプライチェーンの中で、原材料の調達、効率配送や、環境配慮型の製品とサービスの提供を通じて、気候変動の緩和に貢献していきます。私たちは、持続可能な未来のために行動を起こし、社会とともに成長していく決意です。

GHG削減戦略

私たちは、レスポンシブル・ケアに関わる経営方針やCSR調達方針を策定、公開し、サプライチェーン全体における温室効果ガスの削減対策への取り組みを宣言しています。
方針を実行するため、グループ内に対し、レスポンシブル・ケア指針として、気候変動の緩和・適応をはじめ、生物多様性、資源循環のほか、研究開発や製造などの指針を定めています。
生産拠点では、Scope1に対して低負荷エネルギーへの転換、Scope2を合わせて、エネルギーの効率的利用、Scope3の各カテゴリーに対応した取り組みを進めています。また、気候変動緩和や適応に寄与する環境関連製品群の研究開発を推進しています。
外部調達する原材料については、CSR調達ガイドラインの制定により、低環境負荷の原料調達を推進するため、サプライヤーの認識の向上を図り、それを実践すべく、サプライヤーとのパートナーシップ構築宣言を行い、持続可能な調達活動を推進しています。
さらに、私たちは「(一社)日本化学工業協会」のレスポンシブル・ケア活動の一環として、サプライヤーや地域との対話活動にも積極的に参画しています。
加えて、私たちはサプライチェーンにおける脱炭素のイノベーションにも取り組んでいます。産学連携プロジェクトによるバイオマス由来原料や未利用廃熱の有効活用を研究開発しています。
これらにより、Scope3における温室効果ガス排出量の削減と、サプライチェーン全体の持続可能性を向上させています。

業界団体を通じた活動

日油は、2050年のカーボンニュートラル実現と社会変革を見据えて、グリーントランスフォーメーション(GX)への挑戦を行い、現在および未来社会における持続的な成長の実現を目指す企業が、同様の取り組みを行う企業群や官・学とともに協働する「GXリーグ」に参画しています。また、代表取締役が理事を務める「(一社)日本化学工業協会」をはじめ多くの業界団体に加盟し、それぞれの団体で議論される、気候変動の課題解決に向けた方針や最新の動向を積極的に取り入れ、日々の活動に活かします。また、団体ごとの目標に取り組むとともに、日油としての方針や戦略に矛盾が生じないように、整合性を図っています。
さらに加盟する「日本石鹸洗剤工業会」では、代表取締役ほか日油役員が定期的に理事として環境委員長を務め、業界全体の環境問題の諸課題対応に尽力しています。

ロードマップ

温室効果ガス排出量削減に向けたロードマップ

国内グループでは、温室効果ガスの排出量削減に向けたロードマップを作成し、事業活動における気候変動の緩和に努めています。事業拡大による排出量の増加の可能性を考慮し、新たにフェーズ2として再生可能エネルギーの導入、フェーズ3として新プロセス、新技術の検討に着手することで、2050年の日油グループとしてのカーボンニュートラルを目指すとともに、移行リスクに伴う財務負担の低減を図ります。

自社事業活動で発生する温室効果ガス(CO₂換算)削減[Scope1、2]

[対象範囲:日油グループ][対象範囲:国内グループ]
(拡大図はこちら)

インターナルカーボンプライシング

温室効果ガス削減の取り組み状況

温室効果ガス排出量削減目標に向けた施策

日油グループは、2030年度までに2013年度比で40%の温室効果ガス削減を中期目標とし、2050年にカーボンニュートラルを目指すことを長期目標として掲げています。2025中期経営計画期間は、次期中期経営計画期間での実行に向けての削減施策の積上げ期間として位置付けており、生産設備増強に伴う排出量の増加を抑えながら、削減を進めます。
具体的な施策として、再生可能エネルギーの利用を増やすため、設備の電化を促進し炭素排出の削減を図ります。さらに、生産工程の見直しに取り組み、エネルギー使用量の削減や排出物の最小化、再生可能エネルギーの活用など、環境への影響を最小限に抑えるための改善策を検討しています。また、燃料転換や非化石証書付電力の導入拡大も計画しており、2025中期経営計画期間では、これらの取り組みに向けて21億円の環境投資を計画しています。
加えて、再生可能エネルギーへの転換や脱炭素化を一層推進するため、インターナルカーボンプライシング(ICP)の試験的な取り組みをさらに拡大しています。この取り組みは、設備投資や事業戦略における経済性の判断をより精緻化するだけでなく、従業員の省エネ意識を高め、事業活動全体の脱炭素化を促進する仕組みとして活用しています。
また、森林整備活動による温室効果ガス削減も進めています。福島県の「森林整備活動による二酸化炭素吸収量認証制度」を活用し、植栽や間伐を行い、2012~2013年に282トンの吸収量が認証されました。
私たちは、持続可能な未来を実現するために積極的な行動を起こし、地球温暖化の緩和に貢献していきます。

温室効果ガス排出量の推移は、2020年度158.3、2021年度159.2、2022年度143.6、2023年度134.5、2024年度目標132.9、2025年度目標125.5、2030年度目標107.2、単位は千トンCO2です。

温室効果ガス排出量  [対象範囲:国内グループ]

Scope3を含むGHG削減に向けた施策

日油グループは、CSRガイドラインに基づき、サプライチェーン全体での温室効果ガスの削減に取り組んでいます。また、パートナーシップ構築宣言に参加し、サプライヤーとの連携を強化しています。加えて、Scope3の温室効果ガス排出量の適正な評価に向けて、システムの導入や体制づくりを進めています。

Scope1、2 CO₂排出量 [対象範囲:日油グループ][対象範囲:国内グループ] (千トン-CO₂)
 

  2013年度 2022年度 2023年度 2024年度 2030年度(目標)
国内グループ Scope1+2 179 144 135 133 107
2013年度比 △35 △44 △46 △72
日油グループ Scope1+2 202 175 159 151
2013年度比 △27 △43 △51

Scope2 ロケーション基準・マーケット基準CO₂排出量 [対象範囲:日油グループ][対象範囲:国内グループ] (千トン-CO₂)
 

ロケーション基準 マーケット基準
2022年度 2023年度 2024年度 2022年度 2023年度 2024年度
国内グループ 110 106 107 84 84 84
日油グループ 133 129 124 103 101 102

Scope3 算出状況 (千トン-CO₂)
 

Category 2023年度 2024年度 対象 算出方法
1)購入した製品・サービス 453.3 520.5 ※1 購入原材料、消耗品、補修材料の品目ごとの物量や金額にデータベース※4による部門別排出原単位を乗じて算出
2)資本財 53.3 52.5 日油グループ 固定資産の取得金額に、データベース※4による排出原単位を乗じて算出
3)Scope1、2に含まれない燃料
  およびエネルギー関連活動
36.8 38.0 日油グループ 燃料、電力および蒸気の使用量に、データベース※4による排出原単位を乗じて算出
4)輸送、配送(上流) 26.7 29.9 ※2 購入原材料の輸送トンキロデータおよび日油が荷主の納入製品の輸送トンキロに算定・報告・公表制度で定められた方法で算出
5)事業から出る廃棄物 9.7 10.7 日油グループ 各生産箇所から排出される廃棄物の種類別の重量に、
データベース※4による排出原単位を乗じて算出
6)出張 0.5 0.5 日油グループ 従業員数に、データベース※4による排出原単位を乗じて算出
7)雇用者の通勤 1.4 1.1 ※3 通勤手当費用額に、データベース※4による排出原単位を乗じて算出
8)リース資産(上流)賃借 該当する活動がないため非該当
9)輸送、配送(下流) 該当する活動がないため非該当
10)販売した製品の加工 17.8 26.6 日油 食用加工油脂、産業用爆薬の販売量にデータベース※4による排出原単位を乗じて算出
11)販売した製品の使用 未計算 未計算 算定に必要なデータの収集が困難であるため未計算
12)販売した製品の廃棄 0.6 292.3 日油 2023年度:
出荷製品の梱包材について、種類別の重量にデータ
ベース※4による排出原単位を乗じて算出
2024年度:
容器包装リサイクル法対応容器重量および廃棄処理が必要な化学製品の販売量にデータベース※4による排出原単位を乗じて算出
13)リース資産(下流) 該当する活動がないため非該当
14)フランチャイズ 該当する活動がないため非該当
15)投資 該当する活動がないため非該当
 合計 600.1 972.1

  1. 日油単体、日本国内関係会社10社(日油工業㈱、油化産業㈱、日油技研工業㈱、昭和金属工業㈱、日本工機㈱、日邦工業㈱、NOFメタルコーティングス㈱、㈱ジャペックス、㈱ニッカコーティング、ニチユ物流㈱)および海外主要関係会社2社(常熟日油化工有限公司、PT.NOF.MAS CHEMICAL INDUSTRIES)
  2. 日油単体および日本国内関係会社7社(日油工業㈱、油化産業㈱、日油技研工業㈱、昭和金属工業㈱、日本工機㈱、日邦工業㈱、
    NOFメタルコーティングス㈱)
  3. 日本国内関係会社10社(日油商事㈱、ニチユ物流㈱、日油工業㈱、油化産業㈱、日油技研工業㈱、昭和金属工業㈱、日本工機㈱、日邦工業㈱、
    ㈱ジャペックス、NOFメタルコーティングス㈱)
  4. 使用したデータベース(国立研究開発法人産業技術総合研究所安全科学研究部門 IDEAラボ v3.5、サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出量等の算定のための排出原単位データベースVer.3.5(環境省))

省エネルギーへの取り組み状況

エネルギー使用量とCO₂排出量

2024年度のエネルギー使用量は、日油グループでは前年度比0.2%減少、日油単独で前年度比1.9%減少しました。エネルギー使用に伴うCO₂排出量は、日油グループでは136.8千トンと前年に比べて4.0%減少、日油単独では108千トンと1.6%減少となりました。
また、生産量当たりのエネルギー原単位は、日油グループは13.8GJ/トンと前年に比べて0.4%減少、日油単独で14.1GJ/トンと3.1%の減少となりました。引き続き、エネルギーの効率的な利用を着実に実施していきます。

エネルギー起源CO2排出量の推移は、単位は千トンCO2で、日油は2020年度128.3、2021年度131.6、2022年度110.7、2023年度109.4、2024年度107.7、日油グループは2020年度167.0、2021年度171.9、2022年度148.7、2023年度142.6、2024年度136.8です。

エネルギー起源のCO₂排出量※1の推移 
[対象範囲:日油グループ]

エネルギー投入量の推移は、単位は千ギガジュール/年で、日油は2020年度2572、2021年度2658、2022年度2471、2023年度2358、2024年度2315、日油グループは2020年度3247、2021年度3377、2022年度3112、2023年度2909、2024年度2903です。

エネルギー使用量※2の推移
[対象範囲:日油グループ]

  1. 電力使用量をCO₂排出量に換算する場合の係数は、各電力供給会社が公表する各年度の排出係数をそれぞれ用いました。
  2. エネルギー評価で電力使用量を熱量に換算する場合の係数は、9.76MJ/kWhを用いました。

エネルギー使用以外のGHG排出量

日油の愛知事業所では、温暖化係数の高いPFC(パーフルオロカーボン)を、有機過酸化物の希釈剤として用いて特殊用途製品を製造しています。2024年度は、設備改善の効果もあり、2023年度比3%程度の減少となりました。今後も、回収設備の安定稼動を継続し、希釈剤変更に向けた取り組みなどによる排出量の削減を目指します。

PFC排出量の推移は、単位は千トンCO2/年で、日油は1995年22.5、2020年度7.1、2021年度4.9、2022年度12.0、2023年度7.5、2024年度7.3です。

PFC排出量の推移[対象範囲:日油]

エネルギー原単位の推移は、単位はギガジュール/製品トンで、日油は2020年度14.42、2021年度13.89、2022年度14.52、2023年度14.58、2024年度14.13、日油グループは2020年度14.21、2021年度13.52、2022年度13.79、2023年度13.91、2024年度13.85です。

エネルギー原単位の推移[対象範囲:日油グループ]

省エネルギーへの取り組み

2024年度の日油グループの原油換算エネルギー使用量は、2023年度比0.2%減の74,890klとなり、売上高原油換算エネルギー原単位は、2023年度比8.8%減の0.31Kl/百万円となりました。試行するインターナルカーボンプライシングを小集団活動の経済効果に加算して、工程改善やスチームトラップの交換による蒸気使用量削減などの省エネルギー活動への意欲向上につなげています。
これらの成果は、工程改善や熱関連機器の管理を通じた蒸気使用量の削減を含む省エネルギー活動の推進によるものです。
加熱工程の運用を見直し、必要な蒸気量を最適化することで、設備全体のエネルギー効率が向上し、使用エネルギーの削減に寄与しました。
また、熱エネルギーを有効に活用するために、スチームトラップ診断を活用して機器の劣化や故障を早期に発見し、機器を維持することで、効率的な熱エネルギーの利用を図っています。さらに、機器や配管を熱画像診断し、見える化することで、放熱ロス対策を迅速に実施しています。

売上高エネルギー原単位の推移は、単位はキロリットル/百万円で、日油は2020年度0.56、2021年度0.50、2022年度0.41、2023年度0.39、2024年度0.35、日油グループは2020年度0.49、2021年度0.45、2022年度0.37、2023年度0.34、2024年度0.31です。

売上高エネルギー原単位の推移[対象範囲:日油グループ]

再生可能エネルギーの取り組み(国内)

日油グループの再生可能エネルギーの取り組みは、2018年に川崎事業所、2020年11月に日油技研工業㈱に太陽光発電設備を導入し、生産活動に使用する電力の一部を再生可能エネルギーで賄っています。以降、新設している生産設備の建物、福利厚生施設として建設した従業員用社宅や寮の屋上に可能な範囲で太陽光発電設備を設置し、低炭素社会に向けた取り組みを進めています。

バイオマス燃料の活用によるCO₂削減の取り組み

パーム油の生産地のインドネシアに所在するPT.NOF MAS CHEMICAL INDUSTRIES(NMC)では、バイオマス燃料である搾油後の廃棄物であるパーム椰子殻(PKS)をボイラーの燃料として活用し、CO₂排出量の削減に取り組んでいます。

半透明で光の入る壁に囲まれた倉庫に、細かく砕いて砂状になったヤシ殻が山のように積まれています。

バイオマス燃料(パーム椰子殻)

天井の高い倉庫のような広い場所に鉄鋼の骨組みがあり、大きな焼却ボイラーが設置されています。

バイオマス燃料を用いたボイラー

太陽光導入実績
 

事業所 発電能力(kW) 平均日照時間(h) 稼働日数(日) 発電実績(MWh/年)
大師工場 16.6 2.6 365 15.6
尼崎工場(関西社宅) 10 4.5 365 16.5
衣浦工場(38号倉庫) 20 4.2 242 20.2
日油技研工業㈱(川越工場) 10 5.3 365 19.2
PT.NOF MAS CHEMICAL
INDUSTRIES(NMC)
102 3.2 31 10.1

物流の取り組み状況

物流におけるCO₂排出量原単位

日油では、2006年度から統合配送システムを稼動させ、物流の効率化を図っています。加えて、モーダルシフト※や共同配送の推進にも取り組んでいます。
モーダルシフトは、トラック輸送から鉄道便へのシフトを進めた結果、全輸送量に占める鉄道および船舶輸送の比率は19.3%となりました。
物流におけるCO₂排出量原単位は、統合配送システム実施初年度(2006年度)を100とすると、2024年度は42.1となりました。
 

  • 輸送のCO₂排出量 原単位=Σ(輸送手段ごとのCO₂排出量)/売上高
     
物流モーダルシフトの推移は、トラック輸送は2020年度78.3%、2021年度81.7%、2022年度80.5%、2023年度79.4%、2024年度80.7%、鉄道・船舶輸送は2020年度21.7%、2021年度18.3%、2022年度19.5%、2023年度20.6%、2024年度19.3%です。

物流モーダルシフト [対象範囲:日油]

輸送に関するCO2排出量原単位指数の推移は、2006年度を100とすると、2020年度59.2、2021年度55.1、2022年度52.0、2023年度44.2、2019年度42.1です。

輸送に関するCO₂排出量原単位 [対象範囲:日油]

手前から奥に一直線のまっすぐな道が伸びており、道の左は広場、右は架台に載ったコンテナが無数に並んでいます。

モーダルシフト

大分工場から陸送コンテナで西大分駅へ、JRコンテナで各コンテナ取扱駅へ、陸送コンテナでユーザーへ、別のルートでは、大分工場から陸送コンテナで大分港へ、海上コンテナで静岡清水港へ、陸送コンテナでユーザーへ送ります。

大分工場 モーダルシフトスキーム

輸送手段を鉄道や船などの大量輸送手段に変更することで、輸送の効率化を図り、併せて省エネルギー、環境負荷の低減を図ること。

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