生物多様性の保全

生物多様性を守るための日油の取り組み

方針(基本的な考え方) 
 日油グループは、生物多様性の保護と回復に積極的に取り組むことを重視しています。そのため、以下の方針を定めています。

●事業活動における生物多様性への影響を最小限に抑えるため、環境影響評価を実施し、リスクを特定し対策を講じます。
● 生物多様性保護に関連する国際的な指針や法令を順守し、環境保護に取り組むことを従業員に求めます。
● 生物多様性の喪失を引き起こすサプライチェーンのリスクを評価し、サプライヤーとの協力を通じて持続可能な調達を推進します。
● 従業員や関係者に対して環境意識の向上と生物多様性保護の重要性を啓発するための教育プログラムを提供します。
● 地域コミュニティと協力し、地元の生態系保護活動や生物多様性回復のための各種プロジェクトに参加します。

これらの取り組みを通じて、生物多様性の確保に貢献し、より持続可能な未来を実現します。

林の中の木の枝に小鳥が止まっています。

保全活動

マップで見る生物多様性の保全活動
 道路沿いの緑化や自社所有林の間伐・枝打ちによる「森づくり」のほか、主に絶滅危惧種を対象とする保護活動、外来植物の駆除、寄付活動などを通じて、全国各地の拠点で生物多様性に資する計画を実行しています。

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「かながわ森林再生50年構想」において森林再生パートナー制度に参画
【NOFメタルコーティングス(株)】

 「かながわ森林再生50年構想」とは、県内にある丹沢大山や箱根といった山々から、里山や市街地近郊の植林地におよぶ約9万5000ヘクタール、県土の約40%を占める森林を再生する取り組みです。手入れ不足による荒廃浸食を防ぎ、森林の豊かな恵みを次世代へと継承することを目的としています。NOFメタルコーティングス(株)が森林整備を支援するのは約10ヘクタール(東京ドーム約2個分)で、森林が吸収するCO2は5年間で約247トンとなります。また、県より指定された森林の一部は、「NOFメタルコーティングスの森」と名付けることとしました。今後はパートナー企業として、森林整備や自然観察などのイベントを実施。従業員やご家族の皆さまとともに、健康づくりや親睦を深める場として活用し、自然保護・環境保全に貢献します。

森林整備活動【日本工機(株)】
 日本工機㈱白河製造所がある福島県では、「福島県森林整備活動による二酸化炭素吸収量認証制度」を設けており、県内の企業・団体等が実施した植栽や下刈り、間伐などの森林整備の効果を二酸化炭素吸収量の数値で認証しています。この認証は、企業・団体等による森林整備活動への参画を促進し、地球温暖化防止など森林の持つ多面的機能の持続的発揮と山村地域の活性化に資することを目的としています。福島県西白河郡西郷村に約149ヘクタールの森林を所有する日本工機㈱は、その森林整備活動により282トンの二酸化炭素吸収量(2012年~2013年)が認証されました。

数枚の葉が出た苗を地面に植えて、土を寄せています。
       尼崎工場

「尼崎の森中央緑地の森づくり」
 ボランティア活動に参加(2017年~)

 2023年度、兵庫県が進める「尼崎21世紀の森構想」の取り組みの一つ、「尼崎の森中央緑地の森づくり」に、尼崎工場からのべ7名の社員が参加しました。一般のボランティアや事務局の方とともに、植樹や除草に取り組みました。この森づくりの活動を通じて、臨海地域の環境改善や生物生態系の多様性の確保に貢献します。

沼地に水芭蕉の株が密生していて、白い花のつぼみが付いています。
     水芭蕉の群生地

水芭蕉の群生地を保護する活動
【日本工機(株)】

 童謡・唱歌の代表曲「夏の思い出」で知られる水芭蕉は、水辺に生える高山植物です。東京ドーム9.2個分、約43ヘクタールの広大な面積を持つ日本工機(株)美唄製造所(北海道美唄市)の敷地内には、木漏れ日がさす湿地に水芭蕉の群生地があります。白樺などの樹木や水辺に囲まれた豊かな生態系は、社員たちの継続的な観察によって大切に守られています。

特定外来植物の除草【愛知事業所】
 北米原産のキク科の多年草「オオキンケイギク」は、観賞用・緑化用として海外から持ち込まれましたが、繁殖力が強く、日本の生態系に重大な影響を及ぼす恐れがある植物として、平成18年(2006年)に外来生物法による「特定外来生物」に指定され、栽培、運搬、販売、野外に放つことなどが禁止されています。全国的に地方自治体がHPなどで駆除を呼び掛けています。日油の愛知事業所においても場内各所に生育し、近年その数が急激に増加したため、場内全体で駆除活動を実施しています。

緑色の壁と床のステージにカートに入れた葉っぱが2枚入っていて、スポットライトが当たっている印象画です。

CSR調達
 2010年度から、生物多様性への対応推進をRC活動の一つに掲げ取り組みを開始しています。2012年10月にはパーム油産業の健全な発展に貢献するため、日油は「持続可能なパーム油のための円卓会議(RSPO※)」にPalm Oil Processors and Tradersとして加盟しました。2014年からは、生物多様性への事業者の取り組みを促進することを目的とした生物多様性民間参画パートナーシップに参加し、現在、「経団連生物多様性宣言・行動指針(2018年改定版)」に賛同しています。さらに、2019年4月には、メーカー、小売、非政府組織など18企業・団体で構成される「持続可能なパーム油ネットワーク(JaSPON)」に発足メンバーとして参加し、RSPO認証パーム油の調達と消費を産業界全体に促す活動にも取り組んでいます。

※ Roundtable on Sustainable Palm Oil(持続可能なパーム油のための円卓会議)の略。世界的に信頼される認証基準の策定とステークホルダー(関係者)の参加を通じ、持続可能なパーム油の生産と利益を促進することを目的に、2004年に設立された。本部はスイス・チューリッヒ

森の木々の下に伐採した木の丸太が数十本積み上げられた山を下から見上げています。

FSC認証紙の使用
 FSC認証は、持続可能な森林活用・保全を目的として生まれた、「適切な森林管理」を認証する国際的な制度です。日油は統合報告書、株主総会招集通知、会社案内、社内報にFSC認証紙を使い、森林を守る活動に協力しています。

生物多様性の保全に貢献する製品

土壌・水質汚染防止
  機能材料事業、化薬事業

 建設機器やダムの水門、風力発電などに使用される従来の潤滑油や船尾管軸受油、道路工事に使用されるアスファルト合材付着防止剤は自然界に露出すると環境を汚染するため、日油グループでは生分解性に優れる製品を提供し、土壌・水質汚染防止に貢献しています。
 また、カマグ®はトンネルや橋梁などのコンクリート部への塩害がないだけでなく、植物への影響が少なく、自然環境に配慮した凍結防止剤です。自動散布装置のオートカマグ®JETはソーラー式駆動による100%自然エネルギーでの稼働のため、気候変動の緩和にも貢献します。

土壌・水質汚染防止に用いられる日油グループの製品は、ギアに生分解性潤滑油、船尾菅軸受けに環境対応型船尾菅軸受け油、ダムの水門に生分解性潤滑油、付着防止にアスファルト合材付着防止剤、雪道に凍結防止剤です。
土壌・水質汚染防止

気候変動の緩和
  機能材料事業、機能食品事業、防錆事業

 温暖化は間伐や森林火災、海水の酸性化などにより生態系のバランスが崩れ、動植物の絶滅リスク増加につながるとされています。気候変動の緩和に関係するさまざまな製品が生物多様性にも貢献します。

森林・動物保護
  機能材料事業、化薬事業

 再生紙はごみ処理の適正化のみならず森林資源の保護等地球環境保全にも資するとされています。日油グループは古紙再生に欠かすことのできない古紙再生用薬剤(ピッチコントロール剤や離解促進剤等)で森林保護に貢献しています。
 また、ビバフロスティ®は冬季の消毒時に動物や人体にやさしい畜産用不凍液です。ネオドリンク®は虚弱子牛の体力維持、ザ・ヨロイ落としは短時間でヨロイ(汚れ)を落とせるため、牛のストレス軽減に貢献します。

森林・動物保護に用いる日油グループの製品は、古紙に古紙再生用薬剤、虚弱子牛・汚れ落としにアグリ関連製品、消毒に畜産用不凍液です。
森林・動物保護

環境情報
  化薬事業

 海水や大気の観測の他、人工衛星による植生・沿岸域変化調査、希少生物の行動追跡調査などは生態系保全の基礎データとして利用され、海洋機器やロケット燃料が生物多様性にも貢献します。

環境情報

TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)への対応

LEAPアプローチ※に沿った分析
 近年、生物多様性の損失が新たなグローバルリスクとして関心を集めています。TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)では、企業における自然環境や生物多様性に関するリスク・機会の開示を求めています。
 日油グループでは、パーム油をはじめとした自然由来の原材料を使用しています。そのため、生物多様性の損失を重要なリスクと認識し、生物多様性の保護に関する方針を定め、積極的に取り組んできました。
 2023年度からは、生物多様性に関連するリスク・機会の特定・評価に向け、TNFDが求めているLEAPアプローチに沿った分析を進めています。具体的には、日油グループにとって自然に関する重要な場所である生産拠点を対象に、TNFDの評価基準に基づき、WWFなどが提供している各種ツールを通じて評価し、生物多様性の取り組みの優先順位が高い優先地域を特定します。
 自然への依存度・影響度が大きい「機能材料事業」「機能食品事業」が調達している原材料のうち、「植物系」「動物系」の原材料を、評価の対象として、TNFDの評価基準に基づき、各原材料の主要な原産地を対象に評価を行い、優先地域を特定して、依存・影響の特定・評価、リスク・機会の特定・評価を進めます。

※ TNFD が提唱する、自然関連のリスクと機会を科学的根拠に基づき体系的に評価するためのプロセス。「LEAP」はLocate(発見)、Evaluate(診断)、Assess(評価)、Prepare(準備)の4 つのフェーズの頭文字をとったもの

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真ん中が黄色で花びらが紫色の花が沢山咲いていて、紋白蝶が二匹花に止まっています。

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