水と排水
方針(基本的な考え方)
日油グループではレスポンシブル・ケアに関わる経営方針に従い、水資源の使用と管理、工場排水の適正な処理と管理に努めています。
そのために各工場、子会社で以下の項目に対して取り組んでいます。
(1)水質汚濁防止法に基づく特定設備の運転管理と
排水管理
(2)環境関連法令に関する従業員教育の徹底
(3)新規設備設置時の環境への影響評価
(4)内部監査による管理状況のレビュー
(5)定期的な地域対話による情報公開
また、事業拠点においては、生産に伴う水使用量の削減と効率改善に取り組んでいます。水資源の有効利用を促進し、環境への負荷を軽減することで、持続可能な水資源管理を実現しています。
日油グループは、これらの取り組みを通じて、資源の循環を促進し、環境負荷の軽減に積極的に取り組むことで、持続可能な社会の実現に貢献します。
水資源の使用
水資源の使用量を把握し、資源の効率的使用に努めています。
2023年度の水使用量は、8,358千m3で、そのうち地下水使用量は1,332千m3、上水道使用量は2,103千m3でした。売上100万円あたりの水使用量は昨年度から約7%増加し、水使用への依存度が高くなりましたが、水資源の適切な管理と保護に向けて、従業員教育や意識向上活動を実施し、持続可能な水利用の重要性を認識し、継続して使用量の削減に努めていきます。
分類 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | |
---|---|---|---|---|---|
日油 | 取水量 | 5,874 | 5,889 | 6,007 | 5,988 |
上水道 | 801 | 794 | 751 | 759 | |
工業用水 | 4,300 | 4,322 | 4,351 | 4,359 | |
地下水 | 773 | 774 | 905 | 869 | |
排水量 | 4,846 | 4,939 | 5,022 | 5,283 | |
使用量 | 1,028 | 950 | 985 | 705 | |
国内 グループ |
取水量 | 6,434 | 6,447 | 6,535 | 6,484 |
上水道 | 831 | 829 | 782 | 793 | |
工業用水 | 4,300 | 4,322 | 4,351 | 4,359 | |
地下水 | 1,304 | 1,297 | 1,402 | 1,332 | |
排水量 | 6,161 | 6,297 | 6,091 | 5,763 | |
使用量 | 273 | 150 | 444 | 721 | |
日油 グループ |
取水量 | 8,318 | 8,419 | 8,498 | 8,358 |
上水道 | 1,938 | 2,100 | 2,184 | 2,103 | |
工業用水 | 5,077 | 5,022 | 4,912 | 4,923 | |
地下水 | 1,304 | 1,297 | 1,402 | 1,332 | |
排水量 | 6,551 | 6,642 | 6,421 | 6,090 | |
使用量 | 1,767 | 1,777 | 2,077 | 2,268 | |
水使用量/売上高 (トン/百万円) |
10.2 | 9.2 | 9.5 | 10.2 | |
排水先別排水量
日油グループでは、各生産箇所で発生した排水は適切に処理した後、約61%の3,692千m3を海水に排水しています。また、31%を河川を含む地表水へ、残りの9%を他組織へと排水しています。
分 類 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 |
---|---|---|---|---|
地表水 | 2,564 | 2,595 | 2,403 | 1,863 |
地下水 | 0 | 0 | 0 | 0 |
海水 | 3,377 | 3,479 | 3,483 | 3,692 |
他の組織への排水 | 610 | 568 | 535 | 535 |
合計 | 6,551 | 6,642 | 6,421 | 6,090 |
水ストレス(渇水)の評価
水ストレス(渇水)※1については世界資源研究所(WRI)のAqueduct(アキダクト)を用いて国内外の生産拠点の評価を行いました。2024年、2030年においては欧州、東南アジアの拠点で水ストレス下にある地域にあることがわかりました。2050年にはさらに南米の拠点においても水ストレスのリスクが高くなると想定されています。今後は継続的に使用水の削減に取り組んでいきます。
渇水リスク | 水ストレス | 2024年 | 2030年 | 2050年 |
---|---|---|---|---|
大 | 40%超 | 2 | 2 | 3 |
中 | 20~40% | 14 | 15 | 14 |
小 | 20%未満 | 7 | 6 | 6 |
※1 水ストレスは利用可能で再生可能な地表水および地下水供給に対する総取水量の比率を
測定しています。取水には、家庭用、工業用、灌漑用、家畜の消費的および非消費的
使用が含まれます。利用可能な再生可能水供給には、上流の消費水利用者と大きなダム
が下流の水の利用可能性に与える影響が含まれます。
水質汚濁の防止
生産活動にともなう工場排水は処理設備を通じて適正に処理されて工場外に排出しています。排水に含まれる生物化学的酸素要求量(BOD)、化学的酸素要求量(COD)、浮遊物質排出量※2などをモニタリングしており、継続的な設備更新と併せて、水質管理システムの改善と規制値を遵守した運転を行っています。また、水質に関する法令違反は発生していません。
分類 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | |
---|---|---|---|---|---|
日油 | BOD | 34 | 50 | 37 | 33 |
COD | 60 | 67 | 44 | 52 | |
浮遊物質 | 33 | 31 | 22 | 36 | |
国内 グループ |
BOD | 38 | 52 | 39 | 36 |
COD | 60 | 68 | 44 | 52 | |
浮遊物質 | 40 | 36 | 25 | 42 | |
日油 グループ |
BOD | 104 | 93 | 67 | 74 |
COD | 219 | 154 | 148 | 171 | |
浮遊物質 | 56 | 46 | 44 | 58 | |
法令違反数(件) | 0 | 0 | 0 | 0 |
※2 水中に浮遊または懸濁している直径2mm以下の粒子状物質のことで、水質指標の一つ。
リスクと機会
分類 | 主要なリスク・機会 | 概要 | 対策 |
---|---|---|---|
移行リスク | 国内外の規制強化 | ● 新しい規制が導入されることにより それに対応するための設備の拡充や 管理体制の強化が必要となり、それ に伴う管理コストが増大する ● 新しい排水規制の導入により、これ までの製品の製造が不可能となり、 機会損失により売上減となる |
● 排水処理設備の 能力増強 ● 環境低負荷型製 品の開発、提供 |
市場 | ● 水リスクの高い地域の生産拠点にお いて、水不足による水価格の上昇に より、調達コストが増大する ● 水リスクの高い地域の生産拠点にお いて、水不足による断水が頻発して 生産工場の操業が中断し、機会損失 により売上減となる ● 水インフラの老朽化により、安定的 に水が供給されず、断水が頻発して 生産工場の操業が中断し、機会損失 により売上減となる |
● 水の効率利用の 検討 |
|
評価・評判の悪化 | ● 規制への対応遅れや、環境対応型製 品の開発遅れによって、投資家から の評価や、顧客、地域住民からの評 判が悪化 |
● 取り組み内容の 情報開示拡充 |
|
物理リスク | 自然災害 | ● 長期間にわたる豪雨による排水処理 設備の処理能力超過や台風などによ る設備損傷により、排出管理が困難 となり、それに伴い生産活動が停止 することで、機会損失が発生し売上 減となる ● 気候変動に伴う自然災害による断水 や渇水により、生産工場の操業が中 断し、機会損失が発生することで売 上減となる ● 気候変動に伴う洪水の増加により、 浸水リスクのある生産工場が損壊し 資産の損失および売上減となる ● 汚染物質の流出による |
● 排水処理設備の 能力増強 ● 水の効率利用の 検討 |
慢性 | ● 地下水の過剰取水により、地下水利 用工場の所在地周辺地域で地盤沈下 が発生し、多額の損害賠償が生じた 上、長期にわたる操業停止により売 上減となる(愛知事業所) |
● 水の効率利用の 検討 |
|
機会 | 水質汚濁解決に貢献する製品のニーズ拡大 | 【水質汚濁の緩和】 ● アスファルト合材付着防止剤、環境 対応型船尾間軸受油、生分解性潤滑 剤、凍結防止剤、鉛フリー、天然繊 維油吸着材 |
● 環境対応型製品 の開発、提供 |
評価・評判の向上 | ● 積極的な排出管理対策、貢献製品の 開発・提供により、投資家からの評 価や、顧客、地域住民からの評判が 向上 |
● 取り組み内容の 情報開示拡充 |