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革新と未来を融合し、新たな価値を創造します。
日油グループは、「バイオから宇宙まで、化学の力で新しい価値を創造する企業グループとして、人と社会に貢献します。」を経営理念とし、「ライフ・ヘルスケア」「環境・エネルギー」「電子・情報」の目指す3分野において独創性のある製品を多角的に展開しています。未来へ向けた戦略的な方針として策定した「NOF VISION 2030」を遂行し、革新的なアプローチと積極的な変革を通じて、グローバルカンパニーとしての飛躍を目指します。
日油グループは「NOF VISION 2030」において、2023年度を起点とした2025中期経営計画をStageⅡ、収益拡大ステージとし、2028中期経営計画をStageⅢ、事業領域拡大ステージと位置付け、さらなる成長に向けた各種施策を推進していきます。
いま、気候変動をはじめとする地球環境問題や人権問題など、さまざまな社会的課題への関心が急速に高まっています。日油グループは、それらの社会的課題と真摯に向き合い、化学の力で新たな価値を創造し、
すべてのステークホルダーの皆さまの信頼にお応えし続
けることで、安心で豊かな社会の実現に向けて取り組み
ます。
持続可能な社会のために
お客さまの事業課題の解決を通じた 社会貢献を目指します
当社グループは、長年にわたりさまざまな業界のお客さまとともに成長してきました。その過程で、私たちは常にお客さまの事業課題を深く理解し、その解決に向けた最適なソリューションの提供に努めてきました。B to Bの素材メーカーとして、私たちはお客さまの持続的な成長を支援することを通して広く社会に貢献することを目指しています。お客さまの成功が、ひいては地域社会や地球環境の改善につながると信じています。私たちは、単なるビジネスの成功を超え、持続可能な社会の実現に寄与することを願っています。それ故に、当社グループの「NOF VISION 2030」に掲げる「ライフ・ヘルスケア」「環境・エネルギー」「電子・情報」の3分野は持続可能性の観点を含めて選定しています。
ライフ・ヘルスケア分野
「ライフ・ヘルスケア」分野における新製品は、人々の健康と福祉の向上に直結します。医薬・医療向けのDDS素材や生体適合性素材、健康を向上する食品・サプリメント、さらにトレンドを捉えた配合処方の化粧品等は、お客さまの開発を推進するとともに、一般消費者の皆さまのQOL(クオリティ・オブ・ライフ)の向上に貢献します。
この分野の中で、私たちは医薬・医療向けのライフサイエンス事業を当社グループ戦略の中心に置き、革新的なソリューションの提供とともにそのプロセスを通じて、健康や福祉の向上を実現して社会全体に貢献することを目指しています。
環境・エネルギー分野
「環境・エネルギー」分野における新製品は、地球環境の保護と持続可能なエネルギー供給に不可欠です。これらの技術革新は、環境負荷の低減と持続可能な社会の実現に大きく貢献します。
自動車のEV化や自然エネルギーの転換に対して、潤滑性や防錆性等の機能付与とともに生分解性・省エネルギー性等の環境に適合した製品を提供します。私たちはお客さまの品質・性能の要求を満たしながら、お客さまとともに環境負荷の低減への貢献を目指します。
電子・情報分野
「電子・情報」分野における新製品は、ライフ・ヘルスケア分野や環境・エネルギー分野を支える基盤として、これらの分野の発展に貢献します。また、通信技術の発展・普及による遠隔医療やスマートグリッド技術の進展は、医療の効率化とエネルギー管理の効率化を実現します。
小型化・低誘電化が進む電子部品・材料に対して、当社は独自の分子設計や評価技術によって、高感光性・低誘電性・分散性・吸着性等の機能を付与した製品を提供し、お客さまの新たな材料開発推進に貢献することを目指します。
これら3分野での革新的な新製品は、人々の健康と福祉を向上させ、地球環境を保護し、資源の効率的な利用を促進します。各分野の相互作用により、持続可能な未来への道筋が築かれます。私たち日油グループは、お客さまとともに課題を解決し、新たな価値を創造するため、グループ一丸となって努力を続けます。
2023年度の振り返り
過去最高益を更新しました
売上高は、対前年同期45億円増収の2,223億円、営業利益は、15億円増益の421億円、経常利益は、24億円増益の456億円、当期純利益は340億円という結果となり、営業利益、経常利益および当期純利益すべて過去最高を更新しました。2023年度の年間配当金は、前年よりも6円増配の114円としました。
医薬・医療・健康セグメントにおいては、主にDDS医薬用製剤原料の需要が好調に推移し利益に貢献しました。加えて機能食品事業において価格改定が浸透したこともプラス要因となりました。対して、機能化学品セグメントにおいては、プラスチック・ゴム関連製品を中心に国内外の需要が低迷し、厳しい事業環境でした。また、全般的には円安や原料価格の落ち着きといった外部環境にも支えられました。
※文中の当期純利益は、「親会社株主に帰属する当期純利益」です。
2024年度の業績予想について
2024年度は 増収減益を予想しています
2025中期経営計画の2年目である2024年度の連結売上高は、前年同期を上回る2,320億円としていますが、利益面では前年同期を下回る連結営業利益405億円、経常利益416億円、当期純利益330億円を予想しています。連結売上高97億円の増収は、機能化学品セグメントの全般的な需要回復に加え、化薬セグメントにおける防衛関連製品の売上高増加を見込んでいることによるものです。また、連結営業利益16億円の減益は、主に医薬・医療・健康セグメントにおけるDDS医薬用製剤原料が一時的な需要の踊り場を迎えると見込んでいることによるものです。
2025中期経営計画の進捗状況について
2025中期経営計画は 計画どおり進捗しています
「NOF VISION 2030」においては、営業利益の目標を2025年度に460億円、2030年度に600億円としています。2024年度は増収減益を予想していますが、戦略投資(事業領域拡大ステージに向けた先行投資)を含め積極的に投資を進めることで2025中期経営計画の達成を目指します。
機能化学品セグメントにおいては事業部統合のシナジーを活かし、既存事業の強みを掛け合わせ、新しい価値の創出、新しい市場への製品展開を加速させることで計画達成を目指します。
医薬・医療・健康セグメントにおいては、2025年度以降は、上市医薬品の需要が伸長していくことを見込んでおり、当該需要に対応するために、医薬用製剤原料( P E G 修飾剤)製造設備の建設を2025年9月稼働に向け進めています。ペプチド・タンパク質医薬品等のDDS素材の需要増を着実に取り込みます。
化薬セグメントにおいては、地政学的リスクに対する防衛力強化への対応を進めます。
各セグメントにおいて収益基盤の確立を遅滞なく進め、生産活動や営業活動を活発化して全事業の収益力を強化します。加えて、事業領域拡大に向けた戦略投資を積極的に推進し、新たな事業領域へ進出することにより、目標達成に向け邁進します。機能化学品、医薬・医療・健康両セグメントを中心に2028中期経営計画での成長を計画しています。
国内グループでは、2030年に温室効果ガス排出量を2013年度比40% 削減という目標を掲げ、温室効果ガス排出削減に向けたロードマップを作成し、事業活動における気候変動の緩和に努めています。事業拡大による排出量増加の可能性を考慮し、2025中期経営計画では21億円の環境対応への戦略投資を決定し、フェーズ2として再生可能エネルギーへの転換に取り組んでいます。さらにフェーズ3として新プロセス、新技術の検討に着手することで、2050年の当社グループとしてのカーボンニュートラルを目指すとともに、移行リスクにともなう財務負担の低減を図ります。
調達原料の持続可能性についても配慮を続けます。2023年度のRSPO認証油の購入比率は13%程度と2022年度比で約2倍にしました。RSPO認証やコスト増に対するお客さまの理解も広がっていることから、今後も認証油の比率向上を目指していきます。
戦略投資の状況
グローバル企業として 発展し続けるために
2025中期経営計画では、「NOF VISION 2030」で描く2030年度のありたい姿の実現を目指し、3年間を通じての基本方針に「実践と躍進」を掲げています。2022中期経営計画で取り組んだ収益基盤強化施策を結実し、収益拡大に向けた施策を「実践」するとともに、未来を構想して事業の柱となる種をまくため、戦略投資を推進し、2030年度のありたい姿に向け「躍進」を遂げるべく進めていきます。
2030年度のありたい姿を実現するために、2025中期経営計画において約700億円の戦略投資枠を設定しています。戦略投資における設備投資、研究開発投資および人的資本投資の状況について、それぞれ説明します。
設備投資
成長が続く分野の生産能力を増強する
2025中期経営計画期間においては、既存の設備投資に加えて、戦略投資として需要拡大への設備投資、生産性の向上、そして環境への投資により、2022中期経営計画期間実績のおよそ3倍の設備投資額を計画しています。製造設備への投資につきましては、DDS医薬用製剤原料、化粧品原料、防曇剤など、成長が続く分野への製造設備新設や増強を概ね当初の計画どおりに進めています。
生産性向上への投資については、DX関連技術の導入を含めて、自動化・省人化の促進による業務効率改善、生産・営業におけるデータ利活用拡大への投資を進めています。今後も情報システム関連を含めた投資を積極的に検討し、生産性の高い業務運営を行う環境構築に取り組みます。
環境対応への投資については、製造設備におけるフロン規制への対応、CO2削減にも寄与する製造設備の省エネルギー・効率化への投資を進めています。2050年のカーボンニュートラル達成に向け、設備投資を進めます。
今後も戦略投資を含む積極的な設備投資により、2025中期経営計画の達成とさらなる成長を目指します。
研究開発投資
オープンイノベーションへ積極的に参加する
研究開発投資については、目指す3分野である「ライフ・ヘルスケア」「環境・エネルギー」「電子・情報」での新規事業創出に向けた研究開発を推進するため、産学連携プロジェクトを立ち上げ、パートナーの公募を行っています。2023年度は、「電子・情報」分野において新規事業創出を目指し、エレクトロニクス分野での採択者を決定し4つの技術で委託研究を開始しています。2024年度は、医療・医療機器分野の素材や技術のうち、今後の市場成長と当社の技術活用が見込まれる領域において、3つの素材や技術を採択することとし、委託研究を開始します。
また、産学官連携の推進として、政府研究開発プロジェクトも活用しています。化薬事業およびライフサイエンス事業において、プロジェクトに参加しています。研究開発においては、社内の知見リソースにかからず、社外との協業を積極的に進めることで、スピード感を持って新しい研究領域を開拓し、新たな製品、価値を提供し続けます。
人的資本投資
人材の成長が経営の根幹をなす
「NOF VISION 2030」を達成するための鍵の一つは、長期的な視点での人材育成にあります。人的資本への関心が急速に高まる中、取締役会や取締役全員が出席するCSR委員会、あるいは業務執行の責任者が出席する人材会議において、広く人材育成に関する意見交換を活発に行っていますが、議論が深まるにつれ、改めて従業員の成長こそが企業の未来を形作る源泉であるとの思いを強くしています。
2023年度より、2025中期経営計画をスタートしましたが、当社グループの価値観である「挑戦」「公正」「調和」を体現し、新たな価値を創造できる人材の成長を後押しするため、さまざまな施策を推進しています。
施策の一つは、当社が求める理想の人物像の一つである「自律型人材」の育成強化です。あらゆる場面で、従業員がそれぞれの立場で責任を持って挑戦し、それを称えて評価する風土、ポジティブな企業文化を醸成します。2023年度は、自律的な成長を促進するため、全従業員を対象に、私のビデオメッセージを入口としたワークショップを開催しました。また、自ら学ぶ姿勢を応援するための通信教育やeラーニングなどの自己啓発支援の強化などを進めてきました。これらの施策により、従業員が自らの能力を最大限に発揮し、「NOF VISION 2030」の達成に向かって積極的に挑戦することを期待しています。
また、従業員がモチベーションを維持・向上することも重要な課題です。多様性を重視し、女性の活躍推進に努めることに加えて、適切なインセンティブや報酬制度、働き方の柔軟性を確保するなどの従業員が働きやすい環境の提供を通じて、やりがいや働きがいを高める取り組みを進めています。2023年度までにライフステージに応じた柔軟な働き方を可能とする制度を導入したことに続き、2024~2025年度にはキャリアデザイン支援にも重点を置くことを計画しています。
キャリアデザインは、従業員が自らの将来を主体的に考え、計画し、達成するためのプロセスであり、自己実現や満足感を得るための重要な要素と考えています。当社グループは、キャリアデザインを単なる職業選択に留まらず、個人のライフスタイルや働き方全般に関わる広範な視点を含む人材成長のビジョンそのものであると解釈しています。急速に多様化する現代の労働市場において、従業員のキャリアデザインを支援し従業員の成長を促すことによって、当社の成長に寄与することを期待しています。
当社グループは、「人材育成」「ダイバーシティ&インクルージョン」「エンゲージメント」を3つの柱に、さまざまな取り組みを通じて、従業員一人ひとりが自分のキャリアを主体的に設計し、組織の成長と個人の成長が調和する企業文化を築き、持続可能な成長と新たな価値創造に向けて不断の努力を続けます。
2030年度に向けて
政策保有株式については、2025中計期間中に連結純資産比率15%以下とする目標をもとに売却を進め、2030年度に向けて次期中期経営計画ではさらなる縮減を進めるべく検討します。2025年度の総還元性向の目標水準を50%程度とし、引き続き資本効率向上を意識し、戦略投資とのバランスを取りながら株主還元の維持・向上を図ります。
持続可能な社会の実現に貢献することは、企業市民としての責務であると同時に、挑戦すべき課題です。その中で、サプライチェーンにおけるフェアトレード、人権尊重など、公正に対する意識の向上は企業存続の基本です。
私たちは、自らが掲げる価値観「挑戦」「公正」「調和」のもと、高い倫理観を持った行動をお約束します。その上で、2030年度に向けて、お客さまに革新的なソリューションを提供することを通じて、持続可能な社会の実現に向けて貢献を続けます。そして、「NOF VISION 2030」を達成し、グローバルカンパニーとして
存在感を高めていきます。