コーポレート・ガバナンス

企業統治体制

 日油は、事業環境の変化に的確かつ迅速に対応する経営体制を構築するため、執行役員制度を導入し、経営の意思決定機能と業務執行機能とを分離することにより、取締役会の意思決定機能と監督機能の強化を図るとともに、代表取締役の授権に基づく業務執行体制の効率化を図っています。

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取締役会
 取締役会は、独立性を有する社外取締役5名を含む10名で構成され、毎月1回定期的に開催するほか、必要に応じて臨時に開催し、法令、定款および取締役会規則に定める重要事項を決定するとともに業務執行の状況を監督しています。また、取締役会への重要事項の付議に際しては、執行役員を兼務する取締役、役付執行役員、常勤監査等委員および関係部門長らが出席して適宜開催される経営審議会、または執行役員を兼務する取締役と役付執行役員が出席し、原則として週1回開催される政策会議における事前審議を経ることにより、的確な意思決定を図っています。


監査等委員会
 監査等委員会は、独立性を有する社外取締役3名を含む取締役4名で構成されています。監査の方針や基準を定め、常勤監査等委員が中心となって経営審議会などの重要会議への出席、および重要書類の閲覧による監査等を実施し、取締役の業務執行を監督しています。また、内部統制に関しては、内部監査部門である内部統制室が実施する監査計画および監査結果の報告を受け、必要に応じて調査の指示をするなど実効的な連携を図り、状況の確認をしています。その他、会計監査人とは、定期あるいは随時の会合を持ち、監査計画および監査結果の報告を受けることを含め関係情報の交換を行っています。


指名委員会
 取締役会の監督機能の向上およびコーポレート・ガバナンス体制の強化を図るため、取締役会の任意の諮問委員会である指名委員会を設置しています。取締役会の諮問を受け、監査等委員を除く取締役の選任・解任、代表取締役の選定および解職ならびにその後継者計画に関する事項等を審議し、取締役会に答申します。独立社外取締役が委員長を務め、独立社外取締役5名と社内取締役2名で構成されており、独立性・客観性を確保しています。


報酬委員会
 取締役会の監督機能の向上およびコーポレート・ガバナンス体制の強化を図るため、取締役会の任意の諮問委員会である報酬委員会を設置しています。取締役会の諮問を受け、監査等委員を除く取締役の報酬に関する事項を審議し、取締役会に答申します。独立社外取締役が委員長を務め、独立社外取締役5名と社内取締役2名で構成されており、独立性・客観性を確保しています。


会計監査
 EY新日本有限責任監査法人を会計監査人に選任しています。


内部統制管理体制
 日油グループ各社は、法令および定款・社内諸規定の遵守、業務の適正を確保するため内部統制管理体制を整えており、各専門委員会が監査や調査を実施し、徹底を図っています。社会規範および法令の遵守については、日油「CSR基本方針」に基づくものとしており、企業行動倫理を「日油倫理行動規範」として制定し、その徹底を図るためコンプライアンス委員会を設置しています。さらに、すべての事業活動における環境・製品・設備・物流・労働の5つの安全を確保するためにRC(レスポンシブル・ケア)規則を制定し、RC委員会が現場の確認と内部監査を実施しています。


内部監査
 日油は、各リスクに関する委員会が実施する監査のほか、内部監査部門を設置し、経営諸活動の全般にわたる業務の遂行状況の監査を行い、それらの結果は代表取締役および取締役会に報告しています。また、内部監査部門による業務監査の結果については、監査等委員会にも随時の報告を行い、評価を得て必要な指示を受けることにしています。
 内部監査部門と監査等委員会および会計監査人はそれぞれの年間監査計画、監査結果の情報共有や定期あるいは随時の会合での意見交換を行い相互の連携を図っています。


各専門委員会
 各専門委員会ではリスクの分析や対応策の検討、所管事項の分析評価を行い、取締役会に報告しています。

【CSR委員会】
 CSR活動の推進や展開を目的に、CSR委員会を設置しています。当委員会では、各部署から寄せられたCSR活動計画を審議・承認し、専門委員会や関係部署の活動を統括しています。また、専門委員会や関係部署を通じて、関係会社に対する活動報告の要請や助言なども行っています。

【コンプライアンス委員会】
 コンプライアンスの推進や、高い倫理観をもった企業活動の展開を目的に、コンプライアンス委員会を設置しています。当委員会では、コンプライアンスに関する事項を審議・立案し、取締役会に報告するとともに、策定した内容を社内や関係会社に展開しています。

【リスク管理員会】
 リスクマネジメントの推進を目的に、リスク管理委員会を設置しています。当委員会では、リスク管理に関する基本方針を審議・立案し、取締役会に報告するとともに、策定した内容を社内や関係会社に展開しています。

【RC委員会】
 レスポンシブル・ケアの方針や指針の確実な実施を目的に、RC委員会を設置しています。当委員会では、RC活動に関わる重要事項について、その支援方策や改善施策を討議・審議し、社長に上申するとともに、策定した内容を社内外の関係者に展開しています。

【品質管理委員会】
 「最高の品質とサービスの提供」の実践に向けた品質方針の確実な実施を目的に、品質管理委員会を設置しています。当委員会では、品質管理に関わる重要事項について討議・審議し、社長に上申するとともに、策定した内容を社内や関係会社に展開しています。

役員

役員

取締役会・監査等委員会出席回数、スキルマップ

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役員報酬制度

取締役の個人別の報酬等の内容に係る方針の決定方法
 監査等委員を除く取締役に関する報酬の方針に関しては、取締役会の諮問機関である報酬委員会の審議を経て、2023年1月27日開催の取締役会において方針の一部見直しを決議しています。


決定方針の内容の概要
 取締役の報酬は、経営理念に基づき、持続的成長と中長期的な企業価値向上を促進し、適切な報酬水準により業績等の成果に報いるとの方針のもと、月次報酬、賞与、および株式報酬により構成し、インセンティブを持たせるため、4割の支給割合を目安とする業績に連動する報酬(賞与、ESG指標連動報酬、株式報酬)を定めています(社外取締役に関しては固定報酬のみとなります)。


報酬体系
【固定報酬】
 取締役の固定報酬の算定方法等は、報酬委員会で審議の上、取締役会で決議しています。また、監査等委員を除く取締役の個人別の固定報酬額の具体的内容の決定に関して、報酬委員会での審議を経て、取締役会において決議をしています。

【業績連動報酬】
(賞与)
 監査等委員および社外取締役を除く取締役の賞与の算定方法等は、報酬委員会の審議を経て、取締役会で決議しています。本賞与の算定方法は、日油グループの業績評価に関する重要指標である連結営業利益を基礎に、役位ごとに定めた所定係数を基準額に乗じて算出しており、報酬委員会では本算定方法および支給額を、毎期確認しています。

(ESG指標連動報酬)
 2023年1月27日開催の取締役会で、監査等委員および社外取締役を除く取締役の報酬(月次報酬)の一部をESG指標の達成度等を用いて算定する方法に関して決議しています。本報酬の算出方法は、日油グループにおけるサステナビリティ課題への取り組みに関するESG指標に対して、その達成度等に応じた評価係数を役位ごとに定めた基準額に乗じて算出しており、報酬委員会では本算定方法および支給額を毎期確認しています。

(株式報酬)
 2019年6月27日開催の第96期定時株主総会の決議により、業績連動型株式報酬制度「株式給付信託(BBT(=Board Benefit Trust))」を導入し、2021年6月29日開催の第98期定時株主総会より、監査等委員会設置会社への移行にともない、執行役員を兼務する取締役および役付執行役員(社外取締役、監査等委員である取締役を除く。以下「取締役等」という。)を対象としています。
 取締役等には、各事業年度に関して、役員株式給付規則に基づき、役位、業績達成度等を勘案して定まる数のポイントが付与されます。なお、取締役等に付与されるポイントは日油株式等の給付に際し、1ポイント当たり日油普通株式1株に換算されます(株式分割、株式無償割当てまたは株式併合等が行われた場合には、その比率等に応じて、ポイント数の上限および付与済みのポイント数または換算比率について合理的な調整を行います)。日油株式等の給付に当たり基準となる取締役等のポイントの数は、原則として、退任時までに当該取締役等に付与されたポイント数とします。
 なお、役位、業績達成度等を勘案する当該算定方法等を定める役員株式給付規則は、報酬委員会の審議を経て、取締役会で決議しています。

《株式報酬の算定方法》
1. 付与ポイントの算定方法
 日油グループの業績評価に関する重要指標である中期経営計画の連結営業利益ならびにROEを指標とし、その達成度等に応じて定まる業績評価係数を、役位毎に定めた役位ポイントに乗じて算出します。
 (算式)役位ポイント×業績評価係数
  ※業績評価係数=
   (連結営業利益による業績評価係数×50%)+(ROEによる業績評価係数×50%)
  ※業績評価係数は、業績達成度等を勘案して、0~1.5の範囲で変動します。 

2. 給付方法
 給付は取締役等の退任後とし、確定ポイントに相当する当社株式および金銭(遺族給付の場合は金銭)を給付します。

3. 当期における連結営業利益およびROE達成度
 「2025中期経営計画」の連結営業利益計画値は、460億円(当該計画最終年度)です。当期連結営業利益実績値は、421億円であり、2025中期経営計画期間の成長度に応じ算定する当期の達成度は99.4%となります。また、「2025中期経営計画」最終年度ROE計画値は12%以上であり、当期のROE実績値は13.48%にて、計画値を基準とした達成度は112.3%でした。
 

当事業年度に係る取締役の個人別の報酬等の内容が決定方針に沿うものであると取締役会が判断した理由
 報酬委員会は、取締役に関する報酬制度・方針に関する事項、取締役に関する具体的な報酬額の決定に当たっての算定方法に関する事項ならびに個別報酬額等につき、取締役に関する報酬の方針との整合性を含む多角的な視点での審議を行っています。取締役会はその審議内容を尊重し当該方針に沿うものであると判断しています。なお、本報酬委員会は、社外取締役5名および社内取締役2名で構成され、独立社外取締役が委員長に就任しています。

|役員区分ごとの報酬等の総額、報酬等の種類別の総額および対象となる役員の員数
役員区分 報酬等の
総額
(百万円)
報酬等の種類別の総額(百万円) 対象となる役員 の員数(人)
固定報酬 賞与 株式報酬
取締役(監査等委員および社外取締役を除く) 226 137 75 13 6
監査等委員
(社外取締役を除く)
24 24 - - 2
社外役員 45 45 - - 5
1.取締役(監査等委員である取締役を除く)の報酬限度額は、2021年6月29日開催の第98期定時株主総会において年額360百万円 以内(うち社外取締役分は年額40百万円以内。なお、使用人給与は含まない)と決議いただいています。定時株主総会終結後の取締役 の員数は6名(うち社外取締役2名)です。
2.上記1の取締役(監査等委員である取締役を除く)の報酬限度額とは別枠で、執行役員を兼務する取締役に対する業績連動型株式報酬 「株式給付信託」は、2021年6月29日開催の第98期定時株主総会の決議により取締役に付与される1事業年度当たりのポイント数 の合計は1万2千ポイントを上限としています(当社株式等の給付に際し、1ポイント当たり当社普通株式1株に換算されます)。定時株主総会終結後の執行役員を兼務する取締役の員数は4名です。 ※日油は、2024年4月1日付けで普通株式1株につき3株の割合で株式分割を行いました。そのため、同日以降は執行役員を兼務する 取締役に付与される1事業年度当たりのポイント数の合計は3万6千ポイントを上限としています。
3.監査等委員である取締役の報酬限度額は、2021年6月29日開催の第98期定時株主総会において年額80百万円以内と決議いただ いています。定時株主総会終結後の監査等委員である取締役の員数は4名です。

取締役会

取締役会の実効性評価

 日油は、年に1回、取締役会の実効性に関する分析・評価を行います。2016年度から実効性評価を毎年実施していますが、2023年度は外部機関による質問票を用い、全取締役10名を対象に、取締役会実効性評価アンケートを実施しました。
 アンケートは、5段階評価と自由記載を組み合わせることで、定量評価と定性評価の両側面から、現状の把握と課題の抽出を図りました。回答方法は外部機関に直接回答することで匿名性を確保しました。また、質問票の集計、分析についても、客観性を確保し、今後の取締役会の実効性をさらに高めることを目的に外部機関に委託しています。外部機関の集計、分析結果をもとに、同年4月の取締役会で審議、評価しました。

《アンケートの質問事項(全30問)》
  ● 取締役会の役割・機能(全5問)
  ● 取締役会の規模・構成(全4問)
  ● 取締役会の運営(全5問)
  ● 監査機関等との連携(全4問)
  ● 社外取締役との関係(全3問)
  ● 株主・投資家との関係(全3問)
  ● 取締役会機能の今後の方向性(全1問)
  ● 改善度(全1問)
  ● 自由記載(全4問)


2023年度の実効性評価の結果の概要
 日油取締役会は、経営戦略に照らし必要な知識・経験・能力等の多様性を相応に確保するとともに、社外取締役の経験・知見を活かすための適切な機会を提供しています。日油グループの経営理念・価値観を踏まえた上で、各取締役は自身のキャリア・専門性等を活かしながら自由闊達に意見を述べ、取締役会としてオープンで活発な議論がなされるとともに、重要な案件には十分な審議時間を確保するなど、概ね適切に運営されていることを確認しました。
 2022年度実効性評価で認識された課題であるガバナンス体制全般の一層の拡充については、取締役会として最高責任者(CxO)を会社組織に設置し全社横断的に戦略を指揮することとしました。これにより、今後、ガバナンス体制の一層の強化を図ります。


今後の改善点
 資本コストを意識した経営の実現に向けた議論、サステナビリティをはじめとする非財務情報に関する議論についても、取締役会のアジェンダとして一層の拡充を図っていくことを確認しました。

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