環境

ケミカルセーフティ

方針

方針(基本的な考え方)

日油グループでは、ケミカルセーフティを重要な責務と位置付け、以下を優先的に取り組んでいます。
 

  1. 製品の危険有害性と環境負荷の評価
    化学物質リスクアセスメントを徹底し、製品開発段階から環境負荷や危険有害性の情報を収集・整備しています。これにより、危険有害性の分類・格付けを行い、法規制の適用事項を明確化し、製造・取扱・貯蔵・流通・廃棄に至る全プロセスで安全性を確保しています。
  2. 潜在危険の確認と対策の実施
    製品に潜在する危険について、計画立案時や試験製造時などの各段階で化学物質リスクアセスメントを実施し、定量化された情報を整備しています。特に、潜在危険が大きい成分に対しては、リスクアセスメントに基づく適切な保護具の着用や作業環境測定などの有効な対策を実施しています。
  3. 製品情報の最新化と適法性の確認
    製品安全を確保するため、試験や評価を通じて適法性を確認した後に販売を開始しています。さらに、販売開始後も危険情報を継続的に収集・更新し、最新の情報を反映させています。
  4. 緊急対応体制の整備
    不測の製品事故や緊急再評価が必要な事態に備え、迅速に対応できる体制を構築しています。
  5. 輸送時の安全確保
    輸送時には、化学物質危険情報を記載したイエローカードの携帯を徹底し、輸送中の安全性を確保しています。
     

日油グループでは、これらの取り組みを通じて、化学物質の安全管理を強化し、持続可能な社会の実現に向けたケミカルセーフティの向上を目指しています。

マネジメントアプローチ

日油グループでは、現在、そして将来にわたってお客さまのニーズに応えるため、リスクベースでの適正な化学品管理を推進するとともに、新製品を含むすべての製品についての製品安全リスク評価を実施しています。
今、多くの国・地域で化学品管理に関わる法規制の制定や改正の動きが活発化しています。日油は国内外のグループ会社と連携して、以下の事項に対応するため、法規制動向の情報収集力を強化するとともに、化学物質総合管理システムを用いて機能充実を図り、コンプライアンスを徹底しています。
 

  • ライフサイクルの全段階および意図された用途に関連する各製品の危険性、リスクおよび影響を包括的に理解しています。
  • 世界的な一貫性を確保しつつ、製品情報に関する各地域の要件に準拠するよう、随時、情報の質と量をアップデートしています。
  • 全ライフサイクルを通じて製品が利用可能であることを保証するために、必要かつ要求されるすべての製品安全情報の記録を保管しています。
  • 標準化された安全データシート(SDS)を、初回納品時および現地の要求に応じて、顧客に提供しています。この重要な情報提供の仕組みは一貫して維持され、すべての製品について、各国の規制を遵守し、お客さまがご要望される言語で、全世界のすべての顧客に配布しています。

日油グループの取り組み

日油グループは、製品の化学的性質、危険性、人や環境への影響を正しく理解し、製品の取り扱いに関連するリスクを管理することが、将来において、安全で競争力のある製品ポートフォリオを市場に提供するための基本と位置付けています。
日油グループは、自社製品に関連する危険有害性情報をお客さまや従業員が容易に入手できるように、SDSを提供する仕組みの確実な運用に努めるとともに、最新情報への更新を継続しています。日油グループは現在、約5千を超える製品を世界82か国・地域の市場に送り出し、これらの市場に向けてSDSを提供しています。また、法改正に対応して改定する責任を負い、製品に関する十分な理解と安全な使用方法および取り扱い方法を確保するため、お客さまに適切な情報と技術的支援を提供しています。現在、製品情報を管理するためのシステムを導入し、法規制の進展に伴い、関連するリスクを記録・評価するため、製品の使用条件についてより多くの情報を収集し、SDSに反映させています。
また、日油は、POPs条約、RoHS指令などに指定される管理すべき化学物質を一覧化し、 ❶すべての取り扱いを禁止する化学物質  ❷代替品の検討・取扱量の削減に努める化学物質  ❸適切な管理のもとで取り扱う化学物質 の3つにランクして管理の徹底、数量の削減を進め、❶は廃絶、❷は調達、使用、販売の段階的な削減に取り組んでいきます。EUのREACH規則の施行以降、2024年に日油製品1品が高懸念物質(SVHC)に認定されました。現在ヨーロッパへは、該当製品の直接販売は行っていません。REACHの規則を遵守し、お客さまとは情報共有を継続して、対応していきます。
また、日本国内では、水質汚濁に影響する鉛を含んだ雷管など火工品の鉛フリー化を推進しています。

サプライチェーンにおける取り組み

日油のゼロエミッションの定義:(最終埋立処分量/廃棄物等発生量)×100≦0.10

関連法令の遵守と適応

国内化学物質管理

関連法令への対応

国内では「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)」および「労働安全衛生法(安衛法)」で新規化学物質の事前届出制度が定められています。日油は前記の法規を含めた新規化学物質に関連する法規を遵守するために、「新規化学物質等管理基準」を策定して、新規化学物質の取り扱いを管理・運営しています。「化学物質の管理と取り扱い」の図1にその管理組織体系を、図2に審査フローを、図3に管理フローを示します。

新規化学物質を製造開始する際には、適切な届け出を行うために、技術本部が該当の事業部門の届け出案が法的要件を満たしていることを確認します。また、製造・輸入量が確認した届け出数量を超過するのを未然に防ぐために、該当事業部門が合計数量を管理するとともに、技術本部がその管理状況を内部監査の実施などにより徹底して指導しています。さらに技術本部は新規化学物質申請・管理に関して取扱関係者への全体教育および化学物質申請管理担当者への関連法規の教育を、箇所ごとに各々、年に1回実施して、常に最新の情報を共有するように努めています。

化審法に基づく一般化学物質の製造・輸入の実績数量の届け出に際しては、顧客の皆さまからの用途情報とともに、適切に報告しています。

業界団体との行動

化学物質のリスクなどの情報開示については業界の自主的な化学物質管理活動(JIPS:Japan Initiative of Product Stewardship)に参加して積極的に取り組んでいます。また、(一社)日本化学工業協会が推進する「LRI(長期自主研究支援活動)」に参加し、企業が“社会のニーズに応える”という観点で安心・安全につながる研究を支援し、社会的問題の解決に協力しています。
さらに、アーティクルマネジメント推進協議会※(JAMP:Joint Article Management Promotion- consortium)の会員として、JAMPが推奨する化学物質情報を伝達するためのツールであるchemSHERPAを活用して、アーティクル(部品や成形品)などを取り扱う川下ユーザーへ情報提供をしています。
 

アーティクルが含有する化学物質などの情報を適切に管理し、サプライチェーンの中で円滑に開示・伝達する具体的な仕組みの作成・普及が、産業競争力の向上には不可欠との認識に立ち、2006年に業界横断の活動推進主体として発足。

PCB(ポリ塩化ビフェニル)の適正管理

日油グループは「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法」に基づきPCB廃棄物を適正に保管・管理するとともに、法令に従い処理業者に委託して処理を行っています。
高濃度PCBに関しては、処理の最終期限である2023年3月末までにすべての処理を完了しています。低濃度PCBに関しては、塗膜に含有しているPCB成分も含めてすべての含有機器の調査は完了し、2027年3月末の処理期限に向けて、機器の交換と塗装の変更を計画的に進めています。

国際的な化学物質管理

化学物質については世界的に管理が強化されています。持続可能な開発を実現するために、2002年の環境開発サミット(WSSD)で「2020年までに化学物質が人の健康と環境に及ぼす有意な悪影響を最小化する」ことが世界共有の目標となりました。これに基づいて新興国も含めリスクベース管理の普及・定着およびGHS※の普及が促進されています。化学物質については製造から廃棄までサプライチェーン全体でリスクを管理する必要性が高まっており、化学物質が持つリスクおよびその管理に関する情報は顧客や消費者を含む社会一般に公開されることが求められています。
日油グループでは、化学物質管理強化の流れの中、各国・各地域で定められた法律などに準じた対応を行っています。そのために日油では2020年度から全社SDS作成支援システムを導入、構築し、SDSの全社一元管理を始めています。
 

Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicalsの略称で、化学品の危険有害性を世界的に統一された一定の基準に従って分類し、
絵表示などを用いて分かりやすく表示したもの。
関連法令への対応

REACH規則※1は、EU域内における化学物質の総合的な登録、評価、認可および制限に関する制度です。その目的は、「人の健康と環境の保護」、「EU化学産業の競争力の維持および向上」などであり、EU域内に化学物質を輸出する際には、ほとんどすべてが対象となります。
そのほかに、米国のTSCA(有害物質規制法)をはじめ、英国のUK-REACH、韓国のK-REACH、中国・台湾の化学物質法令など、関連する地域および国の化学物質法令を遵守しています。表にそれらの登録数を示します。日油グループでは、EU域内をはじめ海外各国向けの輸出も活発に行っていて、対象物質についてはその輸出量に応じた対応を行っています。業界団体、関係省庁より最新の情報を入手し、適切に対応しています。

国外各国各法令への登録数(2025年3月末時点)
 

国・地域 化学物質管理法・制度 件数※2
欧州 EU-REACH(Registration, Evaluation, Authorisation and Restriction of Chemicals) 48
イギリス UK-REACH(UK Registration, Evaluation, Authorisation and Restriction of Chemicals) 11
アメリカ TSCA(Toxic Substances Control Act) 7
カナダ NSNR(New Substances Notification  Regulations) 2
中国 MEE Order No.12(新化学物質環境管理登記弁法  生態環境部令 第12号) 182
韓国 K-REACH(Act on the Registration and  Evaluation of Chemicals) 88
台湾 TCCSCA(Toxic and Concerned Chemical Substances Control Act) 178
フィリピン RA6969(Toxic Substances and Hazardous and Nuclear Wastes Control Act of 1990) 33

  1. Registration, Evaluation, Authorisationand Restriction of Chemicalsの略。EUで定められた化学品管理規制で、化学品の登録、評価、認可および制限に適用される。
  2. 日油単体の機能材料事業・ライフサイエンス事業・防錆事業用途であり、研究開発向けの申請を除く。

環境関連法令の遵守状況

環境関連法令の違反はありませんでした。

顧客の安全

日油全社SDS作成支援システムの構築と運用

GHSとは化学物質および混合物の健康、環境、物理化学的危険有害性を一定の基準に従って分類するための判定基準であり、この情報はSDSおよびGHSラベルに最新の情報を反映させ、ユーザー、販売代理店、輸送事業者などの化学物質を取り扱うすべての関係者が安全に対応できるよう注意喚起しなければなりません。
そこで日油では2020年度から全社SDS作成支援システムを導入、構築し、SDSを全社一元管理しています。このシステムは全社サーバーで使用化学物質を一括で管理し、主要各国の法令変更内容をタイムリーに各事業部門が発行しているSDSおよびGHSラベルに対応させ、顧客に対し常に製品の最新の化学物質情報を提供することができるシステムです。2023年度からの化管法改正への対応は完了しましたが、透明性と可視化を向上させるために、化学物質の使用状況や取り扱いの履歴などの重要な情報を追跡・管理するため、システムの機能拡充にも取り組んでいます。

製品ラベルの見本です。一番上に英語の会社名NOF CORPORATION、一番下に漢字で日油株式会社とあり、カチオンABという製品名が大きく書かれ、5つのピクトグラムと細かな文字で全面に注意事項が記載されています。

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