価値創造
ビジネスモデル
ビジネスモデル
お客さま企業の開発にプラスすることで、
最終製品の価値を最大限に高めます
たとえば、「もっと薬の効果を高めたい」「もっと部品を小さくしたい」「もっと食品をおいしくしたい」「もっと環境にやさしくしたい」といった企業のさまざまな「もっと」を叶えるため、日油グループは高機能素材を提供しています。高機能素材とは、安定性・滑りやすさ・なじみやすさ・伸びやすさ・はじきやすさなどを高める特性を持つ素材のことです。製品・サービスのコモディティ化のほか、脱炭素化に向けた対応が進むなか、お客さま企業にとって課題となるのは、新製品を生み出すことだけでなく、既存製品の性能を向上させること。それらの下支えをするのが日油グループです。また、単に私たちの製品を提供するだけではなく、お客さまのパートナーとして、一丸となり製品開発を進めます。ニーズに応じて素材を柔軟にカスタマイズすることで、お客さまの「もっと」を実現します。
日油グループは、1937年に硬化油から石鹸まで一貫して生産する総合油脂化学会社として発足し、社会の変化に適応しながら進化し続け、今では「ライフ・ヘルスケア」「環境・エネルギー」「電子・情報」の3分野に注力し、事業を展開しています。また、素材の設計・合成だけでなく、分析・評価の技術やノウハウを保有するのも大きな強みです。さらに、社内だけでなく、産学官連携によって研究開発分野を拡大し、知見を深めています。
お客さまの課題を解決する日油グループの製品例
ビジネスモデル(+Plus! 日油)を通じた経済価値の創造
日油グループのコア製品・成長製品
世界は環境問題をはじめとする多くの課題に直面しています。日油グループでは、製品の供給だけではなく社会課題や顧客ニーズに応えるソリューションを提供する「ソリューションビジネス」を重視し、さらに「人と社会の発展のため、最高の品質とサービスをグローバルに提供」することを行動規範に定め、国際社会で必要とされるコア製品・成長製品を生み出しています。
具体的な価値創造事例として、高い経済価値によって売上を牽引する代表的な製品をご紹介します。防錆剤は、日油グループの開発力を活かした高い性能と低環境負荷の両立を実現し、中国を中心に国外での販売が堅調です。引き続き多様化するニーズに対応するラインナップを拡充していきます。機能性ポリマーでは、多様な素材にさまざまな機能を付与できるだけでなく、環境や人体への安全性といったニーズにも対応しています。この技術力が、幅広い分野に価値を提供する源泉です。DDS素材では、活性化PEGの世界シェアNo.1を獲得。世界で高まる先進医療のニーズに応えています。化粧品原料では、欧州をはじめとする環境や安全配慮の要求の高まりに対し、植物由来製品を拡充。国内においても、市場動向の解析に基づく研究開発により、トップシェアを誇っています。
日油グループはこれらの製品群を通じて、社会とともに成長するための経済価値を創造しています。
防錆剤[防錆事業]
- 主な機能
金属製品の酸化(錆び)を防ぎ、 長期間にわたって品質を保ちます。 - 主な用途
自動車部品、太陽光パネル、洋上風力発電機部品 など - 目指す3分野
環境・エネルギー分野 - 市場のニーズ、社会課題解決への貢献
低VOC、クロムフリー、処理の低温化により、 環境負荷低減と安全性向上を実現しました。 - 市場成長率
13%(2025〜2038年)
出典:S&P Global Mobility Light vehicle sales Forecast March 2026
機能性ポリマー[機能材料事業]
- 主な機能
素材へのなじみやすさと機能性(撥水や撥油など)の付与を、 高いレベルで両立します。 - 主な用途
自動車部品、生活用品、 医療用品、情報機器部品など - 目指す3分野
環境・エネルギー分野 - 市場のニーズ、社会課題解決への貢献
世界的に規制が進むPFASおよびハロゲンを含まない ラインナップを提供しています。
DDS素材[ライフサイエンス事業]
活性化PEG 世界シェア:No.1
- 主な機能
医薬品の有効成分を、届けたい部位に、 必要なタイミングで運びます。 - 主な用途
核酸医薬、遺伝子治療薬、抗体医薬、 ペプチド医薬、タンパク質医薬 など - 目指す3分野
ライフ・ヘルスケア分野 - 市場のニーズ、社会課題解決への貢献
社会の高齢化や慢性疾患の増加に対し、高度な技術でQOL向上に貢献します。
- 市場成長率
出典:Evaluate Pharma
化粧品原料[機能材料事業]
化粧品原料の国内シェア:No.1 (TPCマーケティングリサーチ㈱調べ)
- 主な機能
化粧品の質感を損なうことなく、 保湿力や刺激緩和の向上に寄与します。 - 主な用途
ヘアケア用品、スキンケア用品、 ボディケア用品 など - 目指す3分野
ライフ・ヘルスケア分野 - 市場のニーズ、社会課題解決への貢献
ユーザー層拡大により多様化するニーズや、植物由来原料への代替要求に対応しています。
- 市場成長率(日本の化粧品市場)
出典:TPCマーケティングリサーチ㈱
ビジネスモデル(+Plus! 日油)を通じた社会価値の創造
サステナビリティ貢献製品
方針(基本的な考え方)
気候変動への対応や生物多様性の保全のほか、高齢化社会における健康課題解決、情報通信技術の発達に伴う電子素材の性能向上といった市場ニーズが高まっています。こうした社会課題に応えるべく、全社的研究戦略の企画・立案や新規事業創出に注力するとともに、社外公募や産学官連携といった社外協創による技術開発なども行っています。日油グループは持続可能な社会と経済成長の両立に向けて、目指す3分野に該当する技術の研究開発を進め、さまざまなサステナビリティ貢献製品を生み出していきます。
日油グループ製品のうち「地球環境」および「QOLの向上」といった社会課題の解決に直接または間接的に貢献する製品
ビジネスモデル(+Plus! 日油)を通じた価値の創造事例❶
活性化PEGを用いたDDS素材[ライフサイエンス事業]
日油は高純度化や分子設計の技術を結集し、医薬品の効果を高めるDDS素材を2001年に事業化しました。ペプチド医薬品やタンパク質医薬品の体内滞留性を高める活性化PEGでは、世界シェアNo.1を誇っています。また、核酸医薬や遺伝子治療薬を細胞へ運ぶ機能性脂質にも注力しています。
創薬フロー
顧客[製薬メーカー]の開発ステージ
医薬品メーカーの研究開発段階から、日油でも医薬品に必要な要件を満たす素材開発を行います。医薬品の研究開発段階では、DDS素材についても研究室レベルで試作し、創薬メーカーに試薬を提供して基本的なデータを確認します(ラボスケール)。製法が確立できたら、実機よりも小さな機器で製造設備の設計などを検証(パイロットスケール)。そして、実際のプラントで生産する規模(コマーシャルスケール)へとスケールアップしながら、管理基準に適合した素材を医薬品メーカーへ提供します。
スケールアップにあたっては、生産規模を拡大しても品質が安定しているかを確認することが重要です。この検証をバリデーションといいます。医薬品に求められる安全性などの管理基準はますます厳格化しており、十分な製造管理を行う必要があります。
単なる素材提供にとどまらず、開発段階に応じて適切に医薬品メーカーと連携する体制を構築し、機能向上に貢献しています。
日油のDDS素材の強み
- 顧客ニーズに合わせたカスタム対応が可能
- 他社では難しい高品質な活性化PEGを生産
- 機能性脂質の豊富なラインナップ
注力1:活性化PEG
世界シェアNo.1
活性化PEGは、水になじむ特性を持ち、ペプチドやタンパク質といった水になじみにくい薬物を化学修飾することで高い水溶性を付与することができます。また、活性化PEGによって修飾されたペプチド医薬品やタンパク質医薬品は、体内での滞留性も高まるため、効率的な治療が実現します。日油の活性化PEGは世界シェアNo.1を獲得しており、近年は日油の製品が採用されたバイオ医薬品が増加しています。
カスタム対応やユーザーの課題解決をサポート
日油では、顧客ニーズに合わせて活性化PEGや医薬・医療用ポリマー、機能性脂質のDDS素材のカスタムメイドも行っています。これまでに蓄積した分子設計技術を活用し安全性や持続時間を高めたいといったニーズに対応してきました。また、ユーザーが抱える課題の解決支援として、日油製品の品質を担保するための各種分析方法を開発し、医薬品メーカーのアメリカ食品医薬品局(FDA)や欧州医薬品庁(EMA)の承認取得をサポートしています。
注力2:機能性脂質(SS脂質、PEG脂質)
独自の脂質を開発
核酸医薬や遺伝子治療薬がその効果を発揮するためには、mRNAやDNAといった核酸を特定の臓器に安全に届ける必要があります。そこで、核酸を運ぶカプセルの役目となる脂質ナノ粒子(LNP)が使用されます。日油が展開する機能性脂質は、LNPを構成する重要な要素であり、体内で核酸を効果的に運ぶための大切な役割を果たします。日油では、細胞内での分解性を高めた独自のイオン性脂質「SS脂質」を展開しています。
ビジネスモデル(+Plus! 日油)を通じた価値の創造事例❷
市場解析に基づいて開発する化粧品原料[機能材料事業]
日油グループの化粧品関連事業は、高品質な原料を販売するだけではありません。化粧品メーカーと協力して市場ニーズを深く解析し、ユーザーにとって価値ある商品を提案します。コスメティック・ソリューション・デザイナーとして、お客さまの化粧品づくりを開発からサポートします。
日油グループの化粧品関連事業の特長
化粧品原料事業では、原料単体を売るだけにとどまらず、用途に合わせた配合設計も提案しています。また、ODMビジネスでは、顧客である化粧品メーカーと連携しながら、商品の企画・設計から製造までを受託します。そのため、完成した化粧品に対するユーザーからのフィードバックを通じて、より詳細な市場情報を迅速に得られることが強みです。ここで得られた市場情報を解析し、次の化粧品原料製造に活かすことで、ODMビジネスにおいてもさらなる提案力向上につながります。このプロセスを回すことにより、付加価値の高い原料を生み続けられることが、化粧品関連事業のビジネスモデルの特長となっています。
ODM製品
皮膚科学に基づく提案力
企画から設計・開発、製造に至るまで、お客さまの要望に対して、皮膚科学データに基づくトータルの提案力が強み。日油グループが保有する国内トップクラスの原料ラインナップや、市場情報を踏まえて開発した新たな原料などをベースに、お客さまごとにカスタマイズした提案が可能です。
化粧品原料
市場ニーズに即した原料開発力
約500種類以上の製品を保有し、化粧品原料の国内シェアがNo.1です(TPCマーケティングリサーチ㈱調べ)。市場動向の解析を活かした開発力が強みで、保湿性や泡特性などの機能を向上させた原料を、ヘアケア・スキンケア・ボディケアを製造する企業へ提供しています。
日油グループの化粧品原料の強み
- データに裏付けされた高機能製品群
- 効果がより実感できる処方提案力
- 専門性の高い評価技術
- 万全な品質管理、生産体制
ビジネスモデル(+Plus! 日油)を通じた価値の創造事例❸
生分解性に優れた環境対応型船尾管軸受油[機能材料事業]
強み:高品質を叶える評価技術
2010年にメキシコ湾で発生した大規模な原油流出事故をきっかけに、生分解性の潤滑油のニーズが高まりました。以降、船尾管軸と軸受との潤滑性を良好にする船尾管軸受油も、環境対応型へとシフトしました。しかし多くの製品では、潤滑性能や防錆性能の不足が課題となっていました。そこで日油グループは、これらの課題を解決する環境対応型船尾管軸受油を開発。原料販売から最終製品の供給へと進出しました。
生分解性➕潤滑性
日油グループが開発した「ミルルーブ®ST-100U」は、良好な潤滑性・防錆性を示す環境対応型船尾管軸受油です。生分解性が高く、低毒性や低生物蓄積性であるため、万が一海洋に流出しても、環境への影響を小さく抑えられます。本製品は現在、国内でのシェアが堅調に推移しています。
今後はグローバルでのシェア拡大を目指し、船舶会社への営業活動に注力していきます。
ビジネスモデル(+Plus! 日油)を通じた価値の創造事例❹
環境や安全に配慮した防錆剤[防錆事業]
強み:独自の技術で防錆性を最大化
近年、全世界で環境問題がクローズアップされ、有害物質への法規制も年々強化されています。特にこれまで防錆表面処理に有効な材料として使用されてきた六価クロム化合物は、欧米などの環境規制により使用が制限・削減されていく傾向にあります。このようななか、持続可能性の高いソリューションを目指してNOFメタルコーティングス㈱が開発したのが、亜鉛フレーク型水系防錆処理剤「ジオメット®」です。
錆びにくさ➕安全性
NOFメタルコーティングス㈱が生み出した独自の配合により、防錆処理で一般的に用いられる亜鉛めっき処理よりも優れた防錆性能を実現。さらにクロム化合物を一切使用しない完全クロムフリーの製品です。現在は中国を中心に、自動車部品用途としての販売が大半を占めています。引き続き中国での営業活動を強化するとともに、洋上風力発電機などへの用途拡大の提案を強化していきます。
ビジネスモデル(+Plus! 日油)を通じた価値の創造事例❺
海底地盤調査に資するCPT※1データ取得サービス[化薬事業]
強み:装置開発から運用まで一気通貫で対応
日油技研工業㈱は、1996年の海底着座型掘削装置BMS#1をはじめ、海底資源探査機材や水中・海洋機器の開発を通じて、高水圧環境に対応する耐圧・密封技術と、海中計測に関する知見を蓄積してきました。これらの知見を活かし、2025年7月に開始したのがCPTデータ取得サービスです。自社開発した海底着座型小型CPT装置と船上関連機材、専任オペレーターをパッケージで提供し、洋上風力発電設備の建設などに必要な海底地盤データの取得を支援します。
海洋開発の効率化➕コスト低減・リスク低減
本サービスは、海底着座型小型CPT装置により、海底地盤の連続的なデータ取得を可能にします。装置本体、関連機材、オペレーターを一体で提供するため、顧客は装置を保有せずに必要な期間だけ利用でき、初期投資、操作者の育成、メンテナンス負担の必要がありません。今後は、洋上風力発電建設、海底ケーブル敷設、CCS※2関連パイプライン敷設などを主な対象として、事業拡大を目指します。
- CPT:Cone Penetration Testの略。コーン貫入試験のこと。
- CCS:Carbon dioxide Capture and Storageの略。
ビジネスモデル(+Plus! 日油)を通じた価値の創造事例❻
高い費用対効果を生む食品機能材(ルテイン配合製品)[機能食品事業]
強み:少量添加で高い効果
食品市場では新型コロナウイルス禍以降、外食やインバウンドによる土産菓子といった需要が増加しました。また、物価高による消費意欲の低下が続くなか、食品メーカーにとっては、品質を落とさずにコストを削減することが重要となっています。日油グループは、少量の添加で高い効果を発揮する食品機能材を通じて、お客さまの製品づくりを支えています。
食感の向上➕廃棄レタス活用
本製品は、レタスの葉に含まれるルテインを配合した食品機能材です。ルテインには小麦グルテンの食感を変え、弾性や粘性を向上する働きがあります。日油グループの食品機能材(ルテイン配合製品)「LP-V™」は、出荷前に廃棄されるレタスの葉を活用したアップサイクル製品です。
市場が拡大する冷凍パン向けのほか、卵使用食品や麺類といった食材向けにもラインナップを拡充しています。
お客様の課題を解決する日油グループの製品例 ピックアップ
美容液やクリームで肌のシワを改善できる?
[機能材料事業]
シワができる4つの原因
年を重ねると気になりがちな肌のシワ。目立ってくると、年齢よりも老けて見られるのではないかと心配になりますよね。そもそも、なぜ肌にシワができるのでしょうか。まずは、その4つの原因を見てみます。
原因① 皮膚上の水分の減少(乾燥ジワ)
皮膚中のヒアルロン酸やセラミドなど保湿成分が減ると、乾燥によって皮膚上の水分が失われます。そして皮膚が薄く硬くなり、しぼむことで小ジワが発生します。
原因② 表情のクセ(表情ジワ)
同じ表情を長年繰り返すことで皮膚に癖がつき、表情に沿って硬いシワが出てきます。
原因③ 加齢による弾力成分の減少
肌の弾力成分であるコラーゲン、エラスチンや保湿成分であるセラミドなどが減少し、皮膚が元に戻る力を失い、ハリが低下します。
原因④ 紫外線によるダメージ
紫外線によりコラーゲンやエラスチンが変性し、肌の弾力が損なわれます。
このように、肌にシワができる原因はさまざまです。市販の美容液やクリームで改善したいと考える方が多いのではないでしょうか。
肌の弾力を取り戻すには?
市販のシワ改善化粧品には、肌に水分を与えることでシワを目立たなく見せるものや、有効成分の働きで原因に対して根本的にアプローチするものがあります。
なかでも原因①〜③に直接アプローチできる有効成分の一つが「セラミド」です。
セラミドとは、肌の表面に元々存在する細胞間脂質の主成分です。高い保湿機能と皮膚バリア機能があり、肌を乾燥や刺激から守っています。しかし、セラミドは加齢とともに減少することが知られています。それによって保湿やバリアの機能が弱まり、さまざまな原因で皮膚が硬くなったり、元に戻る力が失われたりしてしまうのです。
減少してしまったセラミドの機能を再び肌に与えることで、乾燥や加齢などで硬くなった皮膚の弾力性を改善し、皮膚を柔らかく再生する効果が期待できます。
この考えのもと、セラミドに近い構造を持った美容成分であるセラミドポリマーが開発されました。
セラミドポリマーは、肌に塗ると皮膚の表面で互いに集まり、ネットワークを形成します。化粧品に含まれる水分が蒸発することでこの成分が肌に残り、ポリマーの会合力によってシワが伸びて、肌が引き締まるのです。
ただし、成分そのものは水や刺激で落ちてしまうため、継続的に使用することが大切です。日々繰り返し使い続けることで、シワを伸ばすクセがつき、柔肌再生の効果が期待できるようになります。
ソフトな感触で肌になじみやすい「Ceracute®」
本来のセラミドは水や油に溶けにくく、美容液やクリームに配合した際、塗布時の質感が課題となっていました。
一方、日油が開発した「Ceracute ®」は美容液やクリームの軟らかい質感を向上。肌に刺激を与えず、自然になじむ使い心地が特長です。スキンケア用途のほか、髪にボリュームアップを与える成分としてヘアケア用途にも使用されています。
Ceracute ®は、(メタクリル酸グリセリルアミドエチル/メタクリル酸ステアリル)コポリマーという表示名で化粧品の成分表に載っています。
気になった方は、ぜひチェックしてみてください!
鏡やガラスを曇りにくくする方法は?
[機能材料事業]
鏡やガラスが曇るメカニズム
空気には、目に見えない小さな水分(水蒸気)が含まれています。
暖かい空気は水分をたくさん含むことができますが、冷やされると水分を含める量が減ってしまいます。そのため暖かい空気が急に冷えると、空気中の水分は水滴になるのです。
この小さな水滴がガラスや鏡などの表面につくと、曇って見えるということです。
たとえば、冬に窓ガラスが曇ったり、結露して濡れていたりするのも同じ理由です。部屋の中の暖かい空気が冷たい窓ガラスに触れることで、空気中の水分が、水滴となって付着します。
曇りを防止するには?
浴室の鏡に石けんを塗ると、湯気が当たっても曇らなくなるのをご存じですか?手軽に試せるため、やってみたことがある方も多いかもしれません。
実は工業製品に使われる曇り止め(防曇剤)も、基本的な原理は同じです。
石けんや防曇剤には、界面活性剤が含まれています。
界面活性剤にはさまざまな働きがあります。なかでも曇り止めとして重要なのが、「水が丸い粒状になるのを防ぐ働き」です。
鏡やガラスなどに界面活性剤を塗ることで、表面に付着した水分の表面張力が下がります。そのため、水滴は粒状にならず、透明な膜のように広がって表面全体を覆います。
これにより、鏡やガラスなどの表面がきれいに見えるという仕組みです。
このほかに、工業用の防曇剤には、コーティング膜が水蒸気を吸収するという仕組みのものもあります。
では、工業用の防曇剤は石けんと何がちがうのでしょうか。
耐久性に優れた「モディパー®Hシリーズ」
長い間使用される製品に用いる防曇剤は、石けんのように水で簡単に流れてしまっては困ります。製品がユーザーの手に渡った後も、塗り直しの必要なく、高い曇り止め効果を何年も維持することが重要です。
日油の「モディパー®Hシリーズ」は、そんな耐久性に優れた防曇剤です。
対象物に塗装し、熱や紫外線で硬化させて防曇性を付与します。
外部から刺激を受けても復元する機能により、傷つきにくく、高い防曇性を維持。さまざまな環境での使用に対応しています。
金属製品の錆びを防ぐ技術って?
[防錆事業]
金属が錆びる理由
標識の支柱や公園の遊具、鉄でできた柵や手すりなど、古い金属製品が茶色く錆びている様子をよく見かけるかと思います。
このような錆びが発生する原因は、酸素にあります。金属の表面が空気や水に触れると、空気や水に含まれる酸素により、酸化が起きます。この現象が、錆びの正体です。
錆びが進むと見た目が悪くなるだけでなく、もろく崩れやすくなるため危険です。そこで、多くの金属製品には錆びを防ぐ防錆処理が施されます。
もっと錆びやすい物質を“犠牲”に?
防錆処理には、電気分解を利用して亜鉛の膜を形成する方法(電気亜鉛めっき)や、亜鉛フレークを塗る方法などがあります。
いずれも亜鉛が使われていることに気がついた方は、「亜鉛は錆びに強いのかな?」と考えるかもしれません。しかし実はその逆で、亜鉛は鉄よりも錆びやすい(酸化しやすい)金属です。
上に挙げた防錆処理は、錆びから守りたい素材を亜鉛でコーティングすることで、素材より先に亜鉛を酸化させるというものです。
亜鉛は錆びる(酸化する)と白い粉のようになります。錆びそのものを防げるわけではないため、亜鉛を用いた防錆処理では、酸化の進行をより遅らせる工夫が重要です。耐用年数は処理方法や環境によって異なります。
錆びにくく環境にもやさしい「ジオメット®」
日油の亜鉛フレーク型防錆処理剤「ジオメット®」は、亜鉛以外にもアルミなどを独自に配合。これにより、一般的な亜鉛めっき処理に比べて優れた耐腐食性能を実現しました。
さらに、環境や健康に配慮し、より安全に使用できるという特長もあります。
- 鉄の寿命を伸ばしてリサイクル性を高め、資源の節約に貢献
- 毒性・発がん性のあるクロム化合物を用いない完全クロムフリーを実現
- 処理工程で排水が不要なため、他の防錆処理に比べて環境負荷が少ない
環境対応型の防錆剤として、自動車部品や風力発電の部品など、幅広い分野で活用されています。
コンタクトレンズの乾きをどうやって防ぐの?
[ライフサイエンス事業]
レンズが乾く原因
視力補正やファッションで毎日のように使用する方も多いコンタクトレンズですが、場合によっては装着中に不快感を感じることも。原因はいくつか考えられますが、よくあるのは「乾燥」です。
コンタクトレンズを長時間装着していると、レンズから水分が蒸発してしまいます。レンズが乾燥すると、涙がレンズに吸収され、眼の乾きを感じるようになるのです。
また、PCやスマートフォンの長時間使用によるまばたきの減少や、エアコンの風も乾燥の原因となります。
レンズメーカーはどうしている?
コンタクトレンズの乾燥を防ぐため、メーカーは眼になじみやすい素材で表面をコーティングしたり、保存液に保湿剤を含めたりしています。
保湿剤にはいくつかの種類があります。なかでもヒトの組織に調和しやすく、かつヒアルロン酸の約2倍もの保湿力で注目されているのが、MPCポリマーです。
MPCポリマーは、ヒトの細胞膜と同じ構造の表面を人工的につくった素材です。そのため、高い保湿力に加えて、拒否反応を起こさず安全性が高いという特長があります。
コンタクトレンズのパッキング液(保存液)にMPCポリマーを配合することで、優れた保湿成分がレンズ表面をカバーします。
また、レンズ本体の素材としてMPC モノマーを組み込むことで、レンズ自体に高い保湿性を付与することができます。
MPCポリマーはコンタクトレンズ保存液だけでなく、ドライアイを軽減する目薬にも配合可能です。水になじみやすい性質により、涙を乾きにくくする効果が確認されています。
アイケア以外にも役立つMPCポリマー「Lipidure ®」
日油はMPCポリマーの「ヒトになじむ」特長に注目し、さまざまな分野で使用できるように用途を拡大しました。
「Lipidure ®」は、自由な分子設計を可能にし、目的に応じた成分を組み合わせることができる素材です。オーラルケア、化粧品、診断薬、再生医療用材料などにも用いられています。
市販のパンが数日経ってもおいしいワケは?
[機能食品事業]
手作りのパンはすぐに食感が変わる……その理由は?
パンを手作りすると、できたてのおいしさに感動して「明日も食べたい!」と思いますよね。
ところが、手作りのパンは翌日にはパサついたり、硬くなっていたり……。まるで別物のようになってしまい、驚いた経験がある方もいるのではないでしょうか。
パンが硬くなるのは、小麦粉に含まれるでんぷんの老化が原因です。
焼きたてのパンに含まれているでんぷんは熱で膨らみ、水分が入り込んで、ほぐれたような構造になっています。
しかし、時間が経って水分が抜けると、でんぷんは老化し、硬い構造に変化します。これこそが、パンの食感が変わってしまう原因です。
市販のパンが長持ちする秘密
一方、コンビニやスーパーで売られているパンは、多くの場合賞味期限が数日先に設定されており、期限内は品質が保たれています。
これには、でんぷんの老化を防ぐ技術が隠されています。
でんぷんの老化を防ぐ方法① 乳化剤
でんぷんの改質効果を持つ乳化剤の成分がでんぷんと複合することで、でんぷんのほぐれた構造を保ちます。
でんぷんの老化を防ぐ方法② 酵素
酵素ででんぷんを分解することで、固まることを防止します。
乳化剤と酵素は、味や食感への影響が異なるため、どんなパンをつくるかによって使い分けます。
いろいろな食べ物のおいしさをコントロール!
日油はこれら「食品機能材」のトップメーカー。食卓に上がるパンをよりおいしく長持ちさせるため、技術をアップデートしています。
でんぷんは加熱されてほぐれた状態になって初めて、酵素によって分解されます。一方で、通常の酵素は熱に弱く、パンを焼く際にすぐに機能しなくなってしまうことが課題でした。
そこで日油は独自の研究により、より高い温度で持続的に効果を発揮できる酵素を開発。より多様な食感を長持ちさせることに成功しました。
また、乳化剤をすばやくパン生地に分散させるといった改良も行っています。
このような日油の「おいしさの化学」の研究対象は、パンだけではありません。お菓子や麺類など、幅広い食品のおいしさアップに貢献するため、日々新しい素材や技術を模索しています。
温度で色が変わる塗料やラベルの仕組みは?
[化薬事業]
身近なところにもある「示温材」
温度によって色が変化する塗料やラベル、テープなどの素材を「示温材」と呼びます。
示温材という言葉にはなじみのない方が多いと思いますが、その仕組みは身近な生活雑貨にも使われています。温度で絵柄が変わるマグカップや、こすると摩擦熱で字が消えるペンなどがその例です。
製造、加工、発電、交通など、働く人々の現場でも示温材が使われます。機械の温度計を用いる場合もありますが、製造などの現場では、示温材の以下のような特徴がメリットとなることが多いからです。
示温材の特徴
- 電源が不要
- 低コストでたくさんの場所に貼ったり塗ったりできる
- 温度の変化が色でわかるため、見間違いが起きにくい
色が変わる仕組み
温度によって素材の色を変化させるのには、実にさまざまな方法があります。
代表的な仕組みとしては、以下の2パターンが挙げられます。
パターン① 物質が溶ける温度(融点)を利用する
氷は0℃以上になると水になると決まっているように、それぞれの物質は、固体から液体になる温度(融点)が決まっています。この融点を利用して、特定の温度で物質を溶かし、下地の色彩層を露出させて色の変化を起こします。
パターン② 温度によって分子構造が変わる物質を利用する
温度の上がり下がりに応じて、分子の運動が活発になったり、緩やかになったりする現象を利用します。
たとえば一般的な示温材では、ねじれた構造の分子がよく用いられます。このねじれの強さが温度によって変わります。物質の種類にもよりますが、温度が高くなると分子が活発になってねじれが強くなり、低くなるとねじれが弱まるケースが代表的です。これによって分子の構造が変わると、反射する光の波長も変わるため、色の変化が観察できます。
さまざまな環境での温度管理を自由自在に
先にご説明したように、示温材が使われる環境は、製造や加工の現場などさまざま。
たとえば、電気設備や電子機器の保守、低温の配送管理や、電車の車輪が異常に発熱していないかをチェックするラベルとしても使われています。
つまり、示温材を使う目的も、それぞれの現場によって異なります。
「一度色が変わったら戻らないようにしたい」
「長持ちして繰り返し使える示温材が必要」
「高温な場所で正確に温度管理をしたい」
「屋外で使いたい」……
日油技研工業は、そんな幅広いニーズに豊富なラインナップで応えています。
現場に欠かせない温度管理を支えることで、安全や品質を守ります。
