日油グループのサステナビリティ
ビジネスモデル
お客さま企業の開発にプラスすることで、
最終製品の価値を最大限に高めます。
たとえば、「もっと薬の効果を高めたい」「もっと部品を小さくしたい」「もっと食品をおいしくしたい」「もっと環境にやさしくしたい」といった企業のさまざまな「もっと」を叶えるため、日油は高機能素材を提供しています。高機能素材とは、安定性・滑りやすさ・なじみやすさ・伸びやすさ・はじきやすさなどを高める特性を持つ素材のことです。製品・サービスのコモディティ化のほか、脱炭素化に向けた対応が進むなか、お客さま企業にとって課題となるのは、新製品を生み出すことだけでなく、既存製品の品質を向上させること。それらの下支えをするのが日油です。また、単に私たちの製品を提供するだけではなく、お客さまのパートナーとして、一丸となり製品開発を進めます。ニーズに応じて素材を柔軟にカスタマイズすることで、お客さまの「もっと」を実現します。
日油グループは、1937年に石鹸の原料となる油脂を用いた化学メーカーとして創業し、社会の変化に適応しながら進化し続け、今では「ライフ・ヘルスケア」「環境・エネルギー」「電子・情報」の3分野に注力して研究開発を進めています。また、素材の設計・合成だけでなく、分析・評価の技術やノウハウを保有するのも大きな強みです。さらに、社内だけでなく、産学官連携によって研究開発分野を拡大し、知見を深めています。
お客さまの課題を解決する日油グループの製品例
お客様の課題を解決する日油グループの製品例 ピックアップ
美容液やクリームで肌のシワを改善できる?
シワができる4つの原因
年を重ねると気になりがちな肌のシワ。目立ってくると、年齢よりも老けて見られるのではないかと心配になりますよね。そもそも、なぜ肌にシワができるのでしょうか。まずは、その4つの原因を見てみます。
原因① 皮膚上の水分の減少(乾燥ジワ)
皮膚中のヒアルロン酸やセラミドなど保湿成分が減ると、乾燥によって皮膚上の水分が失われます。そして皮膚が薄く硬くなり、しぼむことで小ジワが発生します。
原因② 表情のクセ(表情ジワ)
同じ表情を長年繰り返すことで皮膚に癖がつき、表情に沿って硬いシワが出てきます。
原因③ 加齢による弾力成分の減少
肌の弾力成分であるコラーゲン、エラスチンや保湿成分であるセラミドなどが減少し、皮膚が元に戻る力を失い、ハリが低下します。
原因④ 紫外線によるダメージ
紫外線によりコラーゲンやエラスチンが変性し、肌の弾力が損なわれます。
このように、肌にシワができる原因はさまざまです。市販の美容液やクリームで改善したいと考える方が多いのではないでしょうか。
肌の弾力を取り戻すには?
市販のシワ改善化粧品には、肌に水分を与えることでシワを目立たなく見せるものや、有効成分の働きで原因に対して根本的にアプローチするものがあります。
なかでも原因①〜③に直接アプローチできる有効成分の一つが「セラミド」です。
セラミドとは、肌の表面に元々存在する細胞間脂質の主成分です。高い保湿機能と皮膚バリア機能があり、肌を乾燥や刺激から守っています。しかし、セラミドは加齢とともに減少することが知られています。それによって保湿やバリアの機能が弱まり、さまざまな原因で皮膚が硬くなったり、元に戻る力が失われたりしてしまうのです。
減少してしまったセラミドの機能を再び肌に与えることで、乾燥や加齢などで硬くなった皮膚の弾力性を改善し、皮膚を柔らかく再生する効果が期待できます。
この考えのもと、セラミドに近い構造を持った美容成分であるセラミドポリマーが開発されました。
セラミドポリマーは、肌に塗ると皮膚の表面で互いに集まり、ネットワークを形成します。化粧品に含まれる水分が蒸発することでこの成分が肌に残り、ポリマーの会合力によってシワが伸びて、肌が引き締まるのです。
ただし、成分そのものは水や刺激で落ちてしまうため、継続的に使用することが大切です。日々繰り返し使い続けることで、シワを伸ばすクセがつき、柔肌再生の効果が期待できるようになります。
ソフトな感触で肌になじみやすい「Ceracute®」
本来のセラミドは水や油に溶けにくく、美容液やクリームに配合した際、塗布時の質感が課題となっていました。
一方、日油が開発した「Ceracute ®」は美容液やクリームの軟らかい質感を向上。肌に刺激を与えず、自然になじむ使い心地が特長です。スキンケア用途のほか、髪にボリュームアップを与える成分としてヘアケア用途にも使用されています。
Ceracute ®は、(メタクリル酸グリセリルアミドエチル/メタクリル酸ステアリル)コポリマーという表示名で化粧品の成分表に載っています。気になった方は、ぜひチェックしてみてください!
鏡やガラスを曇りにくくする方法は?
鏡やガラスが曇るメカニズム
空気には、目に見えない小さな水分(水蒸気)が含まれています。
暖かい空気は水分をたくさん含むことができますが、冷やされると水分を含める量が減ってしまいます。そのため暖かい空気が急に冷えると、空気中の水分は水滴になるのです。
この小さな水滴がガラスや鏡などの表面につくと、曇って見えるということです。
たとえば、冬に窓ガラスが曇ったり、結露して濡れていたりするのも同じ理由です。部屋の中の暖かい空気が冷たい窓ガラスに触れることで、空気中の水分が、水滴となって付着します。
曇りを防止するには?
浴室の鏡に石けんを塗ると、湯気が当たっても曇らなくなるのをご存じですか?手軽に試せるため、やってみたことがある方も多いかもしれません。
実は工業製品に使われる曇り止め(防曇剤)も、基本的な原理は同じです。
石けんや防曇剤には、界面活性剤が含まれています。
界面活性剤にはさまざまな働きがあります。なかでも曇り止めとして重要なのが、「水が丸い粒状になるのを防ぐ働き」です。
鏡やガラスなどに界面活性剤を塗ることで、表面に付着した水分の表面張力が下がります。そのため、水滴は粒状にならず、透明な膜のように広がって表面全体を覆います。
これにより、鏡やガラスなどの表面がきれいに見えるという仕組みです。
このほかに、工業用の防曇剤には、コーティング膜が水蒸気を吸収するという仕組みのものもあります。
では、工業用の防曇剤は石けんと何がちがうのでしょうか。
耐久性に優れた「モディパー®Hシリーズ」
長い間使用される製品に用いる防曇剤は、石けんのように水で簡単に流れてしまっては困ります。製品がユーザーの手に渡った後も、塗り直しの必要なく、高い曇り止め効果を何年も維持することが重要です。
日油の「モディパー®Hシリーズ」は、そんな耐久性に優れた防曇剤です。
対象物に塗装し、熱や紫外線で硬化させて防曇性を付与します。外部から刺激を受けても復元する機能により、傷つきにくく、高い防曇性を維持。さまざまな環境での使用に対応しています。
金属製品の錆びを防ぐ技術って?
金属が錆びる理由
標識の支柱や公園の遊具、鉄でできた柵や手すりなど、古い金属製品が茶色く錆びている様子をよく見かけるかと思います。
このような錆びが発生する原因は、酸素にあります。金属の表面が空気や水に触れると、空気や水に含まれる酸素により、酸化が起きます。この現象が、錆びの正体です。
錆びが進むと見た目が悪くなるだけでなく、もろく崩れやすくなるため危険です。そこで、多くの金属製品には錆びを防ぐ防錆処理が施されます。
もっと錆びやすい物質を“犠牲”に?
防錆処理には、電気分解を利用して亜鉛の膜を形成する方法(電気亜鉛めっき)や、亜鉛フレークを塗る方法などがあります。
いずれも亜鉛が使われていることに気がついた方は、「亜鉛は錆びに強いのかな?」と考えるかもしれません。しかし実はその逆で、亜鉛は鉄よりも錆びやすい(酸化しやすい)金属です。
上に挙げた防錆処理は、錆びから守りたい素材を亜鉛でコーティングすることで、素材より先に亜鉛を酸化させるというものです。
亜鉛は錆びる(酸化する)と白い粉のようになります。錆びそのものを防げるわけではないため、亜鉛を用いた防錆処理では、酸化の進行をより遅らせる工夫が重要です。耐用年数は処理方法や環境によって異なります。
錆びにくく環境にもやさしい「ジオメット®」
日油の亜鉛フレーク型防錆処理剤「ジオメット®」は、亜鉛以外にもアルミなどを独自に配合。これにより、一般的な亜鉛めっき処理に比べて優れた耐腐食性能を実現しました。
さらに、環境や健康に配慮し、より安全に使用できるという特長もあります。
- 鉄の寿命を伸ばしてリサイクル性を高め、資源の節約に貢献
- 毒性・発がん性のあるクロム化合物を用いない完全クロムフリーを実現
- 処理工程で排水が不要なため、他の防錆処理に比べて環境負荷が少ない
環境対応型の防錆剤として、自動車部品や風力発電の部品など、幅広い分野で活用されています。
コンタクトレンズの乾きをどうやって防ぐの?
レンズが乾く原因
視力補正やファッションで毎日のように使用する方も多いコンタクトレンズですが、場合によっては装着中に不快感を感じることも。原因はいくつか考えられますが、よくあるのは「乾燥」です。
コンタクトレンズを長時間装着していると、レンズから水分が蒸発してしまいます。レンズが乾燥すると、涙がレンズに吸収され、眼の乾きを感じるようになるのです。
また、PCやスマートフォンの長時間使用によるまばたきの減少や、エアコンの風も乾燥の原因となります。
レンズメーカーはどうしている?
コンタクトレンズの乾燥を防ぐため、メーカーは眼になじみやすい素材で表面をコーティングしたり、保存液に保湿剤を含めたりしています。
保湿剤にはいくつかの種類があります。なかでもヒトの組織に調和しやすく、かつヒアルロン酸の約2倍もの保湿力で注目されているのが、MPCポリマーです。
MPCポリマーは、ヒトの細胞膜と同じ構造の表面を人工的につくった素材です。そのため、高い保湿力に加えて、拒否反応を起こさず安全性が高いという特長があります。
コンタクトレンズのパッキング液(保存液)にMPCポリマーを配合することで、優れた保湿成分がレンズ表面をカバーします。
また、レンズ本体の素材としてMPC モノマーを組み込むことで、レンズ自体に高い保湿性を付与することができます。
MPCポリマーはコンタクトレンズ保存液だけでなく、ドライアイを軽減する目薬にも配合可能です。水になじみやすい性質により、涙を乾きにくくする効果が確認されています。
アイケア以外にも役立つMPCポリマー「Lipidure ®」
日油はMPCポリマーの「ヒトになじむ」特長に注目し、さまざまな分野で使用できるように用途を拡大しました。
「Lipidure ®」は、自由な分子設計を可能にし、目的に応じた成分を組み合わせることができる素材です。オーラルケア、化粧品、診断薬、再生医療用材料などにも用いられています。
市販のパンが数日経ってもおいしいワケは?
手作りのパンはすぐに食感が変わる……その理由は?
パンを手作りすると、できたてのおいしさに感動して「明日も食べたい!」と思いますよね。
ところが、手作りのパンは翌日にはパサついたり、硬くなっていたり……。まるで別物のようになってしまい、驚いた経験がある方もいるのではないでしょうか。
パンが硬くなるのは、小麦粉に含まれるでんぷんの老化が原因です。
焼きたてのパンに含まれているでんぷんは熱で膨らみ、水分が入り込んで、ほぐれたような構造になっています。
しかし、時間が経って水分が抜けると、でんぷんは老化し、硬い構造に変化します。これこそが、パンの食感が変わってしまう原因です。
市販のパンが長持ちする秘密
一方、コンビニやスーパーで売られているパンは、多くの場合賞味期限が数日先に設定されており、期限内は品質が保たれています。
これには、でんぷんの老化を防ぐ技術が隠されています。
でんぷんの老化を防ぐ方法① 乳化剤
でんぷんの改質効果を持つ乳化剤の成分がでんぷんと複合することで、でんぷんのほぐれた構造を保ちます。
でんぷんの老化を防ぐ方法② 酵素
酵素ででんぷんを分解することで、固まることを防止します。
乳化剤と酵素は、味や食感への影響が異なるため、どんなパンをつくるかによって使い分けます。
いろいろな食べ物のおいしさをコントロール!
日油はこれら「食品機能材」のトップメーカー。食卓に上がるパンをよりおいしく長持ちさせるため、技術をアップデートしています。
でんぷんは加熱されてほぐれた状態になって初めて、酵素によって分解されます。一方で、通常の酵素は熱に弱く、パンを焼く際にすぐに機能しなくなってしまうことが課題でした。
そこで日油は独自の研究により、より高い温度で持続的に効果を発揮できる酵素を開発。より多様な食感を長持ちさせることに成功しました。
また、乳化剤をすばやくパン生地に分散させるといった改良も行っています。
このような日油の「おいしさの化学」の研究対象は、パンだけではありません。お菓子や麺類など、幅広い食品のおいしさアップに貢献するため、日々新しい素材や技術を模索しています。
温度で色が変わる塗料やラベルの仕組みは?
身近なところにもある「示温材」
温度によって色が変化する塗料やラベル、テープなどの素材を「示温材」と呼びます。
示温材という言葉にはなじみのない方が多いと思いますが、その仕組みは身近な生活雑貨にも使われています。温度で絵柄が変わるマグカップや、こすると摩擦熱で字が消えるペンなどがその例です。
製造、加工、発電、交通など、働く人々の現場でも示温材が使われます。機械の温度計を用いる場合もありますが、製造などの現場では、示温材の以下のような特徴がメリットとなることが多いからです。
示温材の特徴
- 電源が不要
- 低コストでたくさんの場所に貼ったり塗ったりできる
- 温度の変化が色でわかるため、見間違いが起きにくい
色が変わる仕組み
温度によって素材の色を変化させるのには、実にさまざまな方法があります。
代表的な仕組みとしては、以下の2パターンが挙げられます。
パターン① 物質が溶ける温度(融点)を利用する
氷は0℃以上になると水になると決まっているように、それぞれの物質は、固体から液体になる温度(融点)が決まっています。この融点を利用して、特定の温度で物質を溶かし、下地の色彩層を露出させて色の変化を起こします。
パターン② 温度によって分子構造が変わる物質を利用する
温度の上がり下がりに応じて、分子の運動が活発になったり、緩やかになったりする現象を利用します。
たとえば一般的な示温材では、ねじれた構造の分子がよく用いられます。このねじれの強さが温度によって変わります。物質の種類にもよりますが、温度が高くなると分子が活発になってねじれが強くなり、低くなるとねじれが弱まるケースが代表的です。これによって分子の構造が変わると、反射する光の波長も変わるため、色の変化が観察できます。
さまざまな環境での温度管理を自由自在に
先にご説明したように、示温材が使われる環境は、製造や加工の現場などさまざま。
たとえば、電気設備や電子機器の保守、低温の配送管理や、電車の車輪が異常に発熱していないかをチェックするラベルとしても使われています。
つまり、示温材を使う目的も、それぞれの現場によって異なります。
「一度色が変わったら戻らないようにしたい」
「長持ちして繰り返し使える示温材が必要」
「高温な場所で正確に温度管理をしたい」
「屋外で使いたい」……
日油技研工業は、そんな幅広いニーズに豊富なラインナップで応えています。
現場に欠かせない温度管理を支えることで、安全や品質を守ります。
