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DDSってなあに?ロケットはどうして飛べるの?

Question ロケットはどうして飛べるの?

Answer 気体を高速で噴き出すときの反動を利用します

ロケットはどうして飛べるの?

ロケットが飛ぶ原理
風船を膨らませて手を離すと、風船は、あちらこちらを
くるくると飛び回ります。このとき、風船を動かしているのは、風船自体の中にたまった空気を噴き出す時の反動による推進力です。ロケットが飛ぶ原理も、これと同じで、ロケットも、気体を高速で噴き出す時の反動を推進力とします。その推進力は、噴き出す気体の量と速度に比例します。

気体の素
風船のようにロケットにも気体を詰めれば良いのですが、気体は、体積が大きいため、大きさに限りのあるロケットにそのまま詰めることはできません。そこで、ロケットには、気体の代わりに、「気体の素」になる物が詰められています。周りに何もない宇宙空間でも、それによって作った気体を噴き出すことで飛ぶことができるのです。

気体をどうやって噴き出すの?
この「気体の素」には、液体と固体があり、いずれも燃えること(燃焼)により気体を発生します。物が燃えるためには燃料と酸素が必要です。そこで、多くの場合、「気体の素」は、燃料と酸素を放出しやすい物質(酸化剤)を組み合わせて作られています。例えば、花火は、燃料の木炭や金属等と酸化剤の硝酸カリウム等を混ぜて固めたもので、これらが「気体の素」になっています。それに火をつけると、燃焼を開始して、火炎と一緒に熱い気体が発生します。それと同じことがロケットの燃焼室で起きています。

ノズルと呼ばれる管
ロケットには、噴き出す気体を加速させるためにノズルと呼ばれる管が燃焼室に付けられています。その形状は、手前が一旦細くなっていて(この部分を「スロート」あるいは「のど」と呼びます。)、先端が太くなっています。
燃焼室で発生した気体は、まず次々と発生する気体に押されて出口に向かって流れます。ここで一旦、スロート部分で流路が狭くなると速度が増して音速に達します。
その後流路を広げ、気体の膨張をますます高めることで、気体の速度はさらに増して超音速に達し、ロケットの大きな推進力を生み出します。

推進薬ってどんなもの?

固体ロケットと液体ロケット
「気体の素」は、推進薬と呼ばれています。推進薬のうち、固体のものを固体推進薬、液体のものを液体推進薬と呼んでおり、固体推進薬を用いたロケットを固体ロケットと、液体推進薬を用いたロケットを液体ロケットといいます。
固体ロケットは、燃料の液状ゴムと酸化剤の粉末を混ぜてロケットケースの中に流し込み固めたもので、それ自体で燃焼します。固体推進薬の外観は、砂消しゴムに似ています。
この固体推進薬は、実は、火薬の一種なのです。火薬というと、工事現場で岩を壊すような爆発的なイメージがありますが、ロケットに用いる固体推進薬は、それよりも穏やかにゆっくり力を発揮するように調整されています。それでも、同じ大きさの液体ロケットに比べれば、短い時間ですが、非常に大きな力を発揮します。
一方、液体ロケットは、液体水素などの燃料と液体酸素などの酸化剤を別々のタンクに詰め、この両者を燃焼室で合わせて燃焼させ、ガスを噴き出します。固体ロケットに比べて、複雑な仕組みになっています。
液体ロケットは、力は固体ロケットに比べると小さいものの、長時間の燃焼が可能で、長い時間力を発揮し続け、調節することもできます。

役割と特長
例えば、鹿児島県の種子島から打ち上げられているH-UAロケットには、固体ロケット(SRB-A)と液体ロケット(LE-7A、LE-5A)が右図のように組み合わせて用いられています。
固体ロケットと液体ロケットが一緒に用いられることで、それぞれの特長を生かした役割を果たすことができます。
打ち上げ時には、ロケット全体の重量は、290トンもあります。これを打ち上げるには、液体ロケット(LE-7A)の力だけでは足りないので、固体ロケット(SRB-A)がそれを補助します。

SRB-Aロケット(固体ロケット)は力持ち!!
SRB-Aは、1本で、200トン(自動車約200台分)のものを持ち上げる力、すなわち推進力を持っています。これを2本用いることで400トンもの推進力がH-UAロケットに加わり、重力の影響が小さくなる上空で必要とされる速度まで、一気に加速します。        
重力の影響が小さくなってからは、液体ロケット(LE-7AおよびLE-5A)が長時間その力を発揮し続け、H-UAロケットは、宇宙空間の目標の場所に、目標の速度で到達します。
その後、積んでいる人工衛星をその軌道に載せて、H-UAロケットの任務は完了します。

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