HOME暮らしの中の日油日油の化学塾
DDSってなあに?ロケットはどうして飛べるの?

Question DDSってなあに?

Answer 薬を患部に届ける宅急便

薬の道のり
たとえば、頭痛や発熱をしたときに、口から薬を飲んだ場合、まっすぐに頭などに働いてくれるのではありません。薬は食べ物と同じように食道から胃、そして小腸から主に吸収され血管に入ります。注射の場合は薬は直接血管に送り込まれますが、薬はいずれも血管に入ってから目的の場所に届いて効果を発揮してくれるのです。

道のりの間には…
ところが、薬の成分によっては、関係のない場所で効いてしまって具合が悪くなったり(副作用)、血中に入ってもそのまま代謝してしまい効き目の成分が減ってしまうことがあります。
このためたくさんの薬を長い間使わなければならないといったことが起きてしまいます。

宅配便でお届けします
こうした薬の欠点をカバーして必要な時に 必要な場所に 必要な量だけ 薬を体に届けるのがDDS(Drug Delivery System ドラッグデリバリーシステム=薬物送達システム)です。

DDSで使われる薬
DDSで用いる薬は効き目の成分を守るために周りが水で覆われています。そのため薬は、血中で異物として見なされなくなるので患部まで安全に移動できます。いわばこの薬の周りの水の層は、薬を安全に届ける宅配便の役割を果たしています。

PEGの役割
DDSでは、この水の層を作るためにPEGという材料がよく用いられます。PEGは、水に馴染みやすい性質を持つ物質で、それを薬の周りにくっつけることで、水の層を周りに作ることができます。日油は薬にくっつけることのできる特殊なPEGを作っています。

薬が水を蓄えたまま血中に入ると
1. 薬の成分が患部に届くまで守られる(薬がよく効く)
2. 代謝されないで長く血液中を巡回する(薬が長く効く)
3. 患部にちゃんと届く(副作用が減らせる)

といった薬の本来のはたらきを有効に実現できます。
つまり、薬が水で覆われているので、「血液中にないものを取り除こう」とする体のはたらきから守られます。そして表面が大きくなるので血管の隙間から出ていってしまうこともありません。また目的の場所に届くようにそれぞれのPEGに工夫をしているので患部にちゃんと届くのです。

ふつうのクスリとPEGのくっついたクスリ

DDSとは、この技術によって薬の量や回数を減らせて、副作用も少なくすることができるので患者さんにとても優しい技術なのです。

目次 PEGの役割 宅配便でお届けします 薬の道のり ページトップへ