価値創造

イノベーション

価値創造に関連する画像です。

研究開発の方針と体制

事業領域拡大ステージに向けて研究開発を加速

日油グループは、2028中期経営計画「事業領域拡大ステージ」に向け、産学委託研究公募や産学官包括連携などの社外協創によるオープンイノベーションを推進しています。

日油グループのオープンイノベーションおよび研究開発体制が図解されています。左側には「大学 研究開発機関 スタートアップ など」から「産学委託研究公募」「産学官包括連携」「VC活用」という3つのアプローチが日油へつながる構造が示され、データ分析画面や顕微鏡を扱う研究者のイラストが添えられています。中央では「社会課題 市場ニーズ」という背景のもと、日油内部で「研究本部(6つの重点事業領域の有望素材の発掘と技術検証)」を示す赤枠の円と、「事業部門(研究所)(実用化の検討)」を示す青枠の円が互いに重なり合って連携しています。ここから右側に向けて「環境・エネルギー分野」「ライフ・ヘルスケア分野」「電子・情報分野」の3つの領域を示す矢印が伸びており、上部には電気自動車やソーラーパネル、風力発電、蓄電池のイラストが配置されています。最終的に右端の「新しい価値の創造(研究本部と事業部門の連携により新規事業を創出)」という赤枠の円へと集約され、社外協創から研究開発、事業化を通じた新規事業創出までの一連の流れを描いています。

日油グループは「NOF VISION 2030」において、「目指す3分野に向けた戦略投資で、新製品・新技術開発を加速する」という目標を掲げました。この達成に向け、「成長市場において、スタートアップ企業との協創や包括的産学連携を柱に市場優位性のある新技術の導入による新規事業を創出する」という基本戦略のもと、6つの重点事業領域を選定しました。研究本部は社会課題や市場ニーズを捉え、この6領域を中心に、産学官連携やベンチャーキャピタル(VC)との協創による研究開発を進めています。実用化の検討段階では事業部とも連携し、目指す3分野に向けた新規事業を創出します。
2024年4月には、産総研グループ(国立研究開発法人産業技術総合研究所および㈱AIST Solutions)と共同で「日油-産総研 スマート・グリーン・ケミカルズ連携研究ラボ」を設立しました。日油グループの独自技術と産総研グループの触媒技術やバイオものづくり技術を融合し、環境調和型の化学品および製造プロセスの開発を行っています。

6つの重点事業領域

医薬素材
遺伝子治療のような先端医療に貢献するため、強みを持つDDS素材でさらなる研究開発を進めます。

医療・医療機器素材
再生医療に対するニーズの高まりを受けて、化学素材での参入に向け、事業化を目指しています。

機能性化学素材
バイオマスを原料とした化学原料を製造するなど、持続可能な社会に対する取り組みを推進します。

機能性食品素材
美容、生活習慣病、免疫、脳機能に効果のある健康食品素材を検討・開発しています。

エレクトロニクス素材
半導体や次世代通信などの分野に向けた新素材の製品化に向け、チーム一丸となって動いています。

自動車素材
電気自動車(EV)に向け、二次電池のさらなる性能向上に貢献する素材の開発を進めています。

 

目指す3つの分野で研究開発を推進

化学素材分野のイノベーションへの期待が高まるなか、目指す3分野において、新技術・新製品の開発に取り組んでいます。

ライフ・ヘルスケア分野

医薬では、精密合成・高度精製技術などを通じて、DDS素材として機能性脂質や活性化PEGをバイオ医薬品向けに展開。抗体医薬品・核酸医薬品用に単分散PEGや核酸送達用イオン性脂質を開発しています。医療では、LIPIDURE®シリーズをアイケア製品、診断薬、医療機器に活用するほか、再生医療向け高機能素材を開発しています。化粧品では、生体適合性素材や天然の生体有用物質、界面制御技術、配合設計技術などの豊富な知見を有しており、高機能化に対応しています。

 コンタクトレンズを装着しようとしている顔のクローズアップです。
環境・エネルギー分野

地球温暖化によりエアコンや冷蔵庫の需要が高まると、冷凍機用潤滑基材やエアコンパテ用ポリブテンの需要が期待できます。また、アジアを中心に開発の気運が高まる洋上風力発電では、海洋汚染を防止するため、天然油脂由来の原料を使った生分解性潤滑油、ボルト用防錆剤など環境に配慮した製品のニーズが高まっています。さらに、EVが主流になることで、LEDヘッドランプ用防曇剤、静かな車内を保つための異音防止剤など、高機能製品の開発が期待されています。

 海上に設置された風力発電の風車3台の遠景です。
電子・情報分野

情報通信分野では、通信の高速大容量化に伴って、低誘電材料用硬化剤のニーズが増加するとともに、電子部品の小型化によって高感光性材料や電子部品用添加剤の需要も高まっています。自動車のEV化においても、電子部品の小型化が求められるため、これら製品の高付加価値化を進めています。また、EV化ではディスプレイの増加や大型化により、液晶カラーフィルター用オーバーコート材の需要増加が見込まれています。

 電子基板の一部を撮影した写真です。

再生医療やがん治療研究に貢献する細胞凍結保存液

[ライフ・ヘルスケア分野]

細胞を傷つけない保存法に需要
高齢化や慢性疾患の増加を背景に、再生医療のニーズは今後も拡大が見込まれています。再生医療では、細胞の採取から培養、組織再生に至るプロセスにおいて、細胞を安定的に保存する「凍結技術」が不可欠です。細胞凍結保存剤の世界市場は、2025年から2033年までで、年平均8.6%※の成長が予測されています。培養手法には懸濁培養や二次元・三次元培養などがありますが、日油はがん細胞株に適した「二次元培養」および、より生体環境に近い「三次元培養」向けの保存液に注力しています。三次元培養は、高い市場成長率が見込まれる一方で、細胞を傷つけずに凍結・解凍するのが難しく、機能を損なわない高度な保存技術が求められています。

iPS由来心筋細胞でも効果を確認
二次元培養細胞の各種試験において、従来の細胞凍結保存では、細胞を懸濁状態で凍結するため、実験ごとに細胞を培養プレートに接着・増殖させる手間や細胞状態のばらつきが問題でした。
日油の開発品である細胞凍結保存液「POCEROY® CR2シリーズ」は、培養プレートに接着した状態での凍結保存を可能にします。これにより、細胞生存率の大幅な向上のほか、工数削減や大量保存を実現。培養基盤上で凍結できるため、必要な枚数だけ解凍して使用できます。この保存液により、株化細胞、間葉系間質細胞、iPS細胞由来心筋細胞などで優れた保存効果を確認しました。また、三次元培養向けの「POCEROY® CR3シリーズ」も開発。iPS細胞由来心筋スフェロイドへの応用実験では、凍結融解後の拍動の維持を確認しています。

 

 

細胞凍結保存液に関する写真です。POCEROYの試薬瓶3本の様子です。
細胞凍結保存液に関する写真です。培養プレートの設置風景です。
出典:Grand View Research report “Cell Freezing Media Market”

社外との協創

「産学委託研究型オープンイノベーションプログラム 2025」の実施

化学の力で新たな価値を協創するというビジョンを掲げ、オープンイノベーション活動を積極的に推進しています。

電子・情報分野において、5つのテーマから3つの技術を採択

「産学委託研究型オープンイノベーションプログラム」は、日油と協創する団体などを社外公募で決定し、新技術や新製品の開発と事業化をともに目指すプロジェクトで、2025年度は「エレクトロニクス分野」に関連するテーマで募集しました。
アビームコンサルティング㈱の支援のもと、今後の市場成長が期待され、かつ日油技術の活用可能性が見込まれる、①熱制御、②太陽電池、③ディスプレイ、④半導体、⑤二次電池の5つの研究テーマについて、本プログラムを実施し、国内外の大学、研究機関、スタートアップから多数の応募をいただきました。 日油における事業化の可能性、技術的優位性、社会課題への貢献度などの観点から慎重に審査を行った結果、宇都宮大学、東京科学大学、物質・材料研究機構の技術を採択しました。採択者には委託研究費を提供し、社会貢献に向けた研究を1年間にわたって進め、将来の新規事業化を目指します。

 2つの画像が上下に並んでいます。上側が、プリント基板、太陽光パネル、PCモニター、基板のCGグラフィック、電気自動車の充電風景の写真がそれぞれ掲載されている画像です。下側が、採択者である宇都宮大学、東京科学大学、国立研究開発法人物質・材料研究機構(NIMS)のロゴが掲載されている画像です。

サステナビリティ貢献製品

日油グループは持続可能な社会と経済成長の両立に向け、目指す3分野に該当する技術の研究開発を進め、さまざまなサステナビリティ貢献製品を生み出しています。

日油グループの製品のうち、地球環境およびQOLの向上といった社会課題の解決に直接または間接的に貢献する製品をまとめた図です。気候変動(緩和・適応)、生物多様性、有害物質・法規制物質の代替、資源循環、QOL向上のそれぞれに貢献する製品が示されています。気候変動(緩和)および生物多様性の維持につながる製品として、架橋ポリエチレン用有機過酸化物、基板用水系アクリルバインダー、防錆剤、生分解性潤滑油、車載電子部品用添加剤、などがあります。気候変動(適応)とQOL向上(健康医療)に共通する製品は医薬品原料、消毒薬・診断薬用添加剤、食品機能材があります。気候変動(適応)とQOL向上(暮らし)につながる製品としては、温度管理用示温材、海洋機器、ロケット機器、凍結防止剤自動頒布装置などがあります。さらにQOL向上(食糧問題)に貢献する製品として、食品機能材、代替肉用油脂、アグリ関連製品なども存在します。生物多様性と有害物質・法規制物質の代替が重なっている製品は、凍結防止剤、アスファルト合材付着防止剤、鉛フリー(雷管、狩猟・競技用ほか)などが示されています。生物多様性と資源循環に重なっている製品は古紙再生油添加剤です。また、有害物質・法規制物質の代替と資源循環に共通する製品は、水系/クロムフリー防錆剤、セメントカプセルです。

日油グループの製品のうち、「地球環境」および「QOLの向上」といった
社会課題の解決に直接または間接的に貢献する製品