Person 03
Career Path
2021.4
入社 化薬事業部 武豊工場 研究開発部
01
入社理由
入社理由
私と日油との出会いは、就職活動時、大学で見た求人票でした。多くの求人票の中でも日油が印象に残った理由は、他の化学メーカーにはない、防衛・宇宙用ロケット向けの火薬製造部門があったことです。気になったのでインターンシップを申し込み、化薬事業部の武豊工場を見学しました。バスで門から入りましたが、どれだけ走ったかわからないほど広大な敷地で、窓から眺めているとその中に研究施設が点在していて、大きな秘密基地のようでした。大学では生命工学を専攻し、人工血液の開発を研究していました。火薬と人工血液、一見まったく関連性がないように思われますが、火薬は天然素材から作る点で大学での研究と共通点があり、それを生かすことができると考えました。防衛や宇宙といったロケットの推進薬研究は、ある意味、科学の最先端分野です。その他の幅広い業務内容にも興味を惹かれましたが、化薬事業という他社にはない研究開発に心をわしづかみにされ、その研究に携わりたいと強く思い入社を決めました。
02
仕事内容
仕事内容
私が所属するグループは、宇宙ロケットや防衛用のロケットモータに使用される推進薬を開発しています。推進薬とは、ロケットモータの内部で燃焼し、高温高圧ガスを噴射して推進力を得るための火薬で、私は防衛用ロケットの固体推進薬を開発しています。防衛用には発煙が少ない無煙火薬、中でもニトロセルロースとニトログリセリンを均質に硬化させたダブルベース推進薬が多く用いられます。私は固体推進薬の組成検討と形状検討を担当しており、燃焼する火薬の熱から金属製モータケースを保護する断熱材の施工方法も検討しています。断熱材を効率的に施工することは、全体の製造時間の短縮に大きく貢献します。図面作成や治工具の設計では、作業者が使いやすく、またコストを抑えるため、実際に現場へ試作品を持ち込んで意見を求めるなど、製造部門と協力して開発を進めています。
03
仕事のやりがい
仕事のやりがい
ロケットの開発は設計と試験による検証の積み重ねで、種類にもよりますが4~5年という長い時間を要します。今携わっているのは、現行ロケットの改良型の研究で、製品化はまだまだ先になります。しかしながら、防衛省が公開している総合火力演習などの映像を見ることで、自分が関わっているアイテムがどのように使われるのか想像することができます。作業は治具づくりなど地味な作業も多いのですが、自分の手を動かして工夫する余地があるのも面白く、試行錯誤しながら効率性を重視して開発を進めています。現在、推進薬については燃焼試験の段階ですが、製品化に近づくと本体に組み込まれ、スケールアップした試験が行われます。防衛用ロケットは、当然機密事項が多く、業務内容は人に話せません。しかし、国の防衛に関わるロケットの重要部品を開発するという明確な目標に向かって業務を実行していることに誇りを持っています。
04
失敗談や苦労
失敗談や苦労
推進薬の開発は、最初にお客様より燃焼時間や推進力、質量、圧力など目指すべきスペックが設定されます。設計段階では解析ソフトで検証を行いますが、実際の性能は燃焼させてみないとわからない部分があります。たとえば、火薬は同じメーカーの原材料を使用しても、ロットが異なれば100%同じように燃焼するわけではないため、試験で検証する必要があります。また、火薬は天然素材から作られるので、温度や湿度などの環境によっても品質が微妙に変化するということがあります。燃焼試験は大掛かりなもので頻繁にはできないため準備は重要で、各製造工程が確実に実行されていることを確認するため、不確定要素を探索して排除するなど、緻密な検証を重ねます。また、燃焼性能を予測するためには、正確に解析ソフトを活用しなければなりませんが、必要な変数やパラメータが多く、解析原理を理解するのには多くの時間を要します。
05
何を学ぶ必要があるのか
何を学ぶ必要があるのか
入社する前は、火薬類に関する知識は全くありませんでした。入社してから、先輩社員にレクチャーを受けたり、自ら火薬に関連する書籍を読み込んで勉強していきました。
火薬類の製造だけでなく、固体推進薬の断熱材や噴射するノズル形状、製造治工具類の設計も行っているため、化学的な火薬類の知識だけではなく、シミュレーションのための流体力学や設計に使う機械工学の知識も必要となります。私は大学では細胞培養などを扱う生命工学を専攻していたため、これらの知識はほとんどなく、ゼロからの勉強になりました。とくに設計図の作成は、火薬の形状や断熱材、治工具などの設計に使う頻度の高いスキルです。大学では経験していなかっただけに、苦労した部分です。そのため、過去の図面を見たり、外部の講習を受けたりして図面作成のスキルを習得していきました。
06
今後の目標、チャレンジ
今後の目標、チャレンジ
今後も、防衛用ロケット推進薬の仕事に関わり、それを極めていきたいと考えています。そのためにも、開発で関わる製造部門との連携をさらに円滑にすることが求められます。製造工程に関して十分な知識を身に付け、現場で作業する方のことを考えながら、よりよいコミュニケーションをとって効率的に作業が進められるよう努力していきたいと思います。現在、当社のみならず日本の中でも無煙火薬・ダブルベース推進薬の研究開発に携わっている技術者は少なく、非常に専門的な分野といえます。それだけに、当社のこれまでの技術を継承して、進化させていく役割は重要だと思っています。さらに知識と経験を積み重ね、周囲に信頼され、頼られる技術者になることが目標です。
Column
やるじゃない日油
当社は幅広い事業領域を持ち、それぞれの分野で他社が真似のできない独自技術を用いた製品を展開しています。私が所属する化薬事業部でも、原材料に独自の加工をした技術が強みとなっています。また、無煙火薬で大口径の固体推進薬を作る技術を持っている会社は国内でも少なく、大きな存在感を示しています。その中で仕事をする者として有難いのは、さまざまな資格取得に対して、費用の補助といった会社のサポートがあることです。私も1年目に火薬類取扱保安責任者を取得しました。今後は高圧ガス取扱責任者、火薬類製造保安責任者など、業務に必要な資格を取得していきたいと考えています。
ある日の私
思い出の一枚
愛車のBRZ。もちろんマニュアルです。写真は2022年10月、納車後1ヵ月経ち、操作に慣れてきたので、岐阜県の各務原へドライブに行った時、「アクア・トトぎふ」の駐車場での雄姿をパチリ。帰宅後に自慢のアクセサリライトを点灯していなかったことに気付き、再トライしようと考えています。
プロフィール
職種INDEX
研究開発職
機能材料事業部 研究開発部 尼崎研究所
2018年入社
研究開発職
機能材料事業部 研究開発部 衣浦研究所
2017年入社
研究開発職
化薬事業部 武豊工場 研究開発部
2021年入社
研究開発職
機能食品事業部 食品研究所
2021年入社
研究開発職
ライフサイエンス事業部 ライフサイエンス研究所
2019年入社
研究開発職
防錆部門 (NOFメタルコーティングス株式会社出向)
2021年入社
研究開発職
研究本部 先端技術研究所
2021年入社
技術職
機能材料事業部 尼崎工場 製造部
2021年入社
技術職
川崎事業所 技術部
2019年入社
技術職
ライフサイエンス事業部 DDS工場 品質保証課
2019年入社
営業職
機能食品事業部 加工油脂第2営業部
2019年入社
スタッフ職
人事・総務部
2017年入社