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Lipidure®(MPCポリマー)

MPCとは?(MPC:2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン)

図1 細胞膜の構造とMPCモノマー

LIPIDURE®(MPCポリマー)

図2 LIPIDURE®の化学構造式

生体を構成する最小単位である細胞は、生命維持のために多様な働きをしており、この働きの一部は細胞膜によるものです。
MPCモノマーはメタクリル基とホスホリルコリン基という二つの部分からできている化合物です。
メタクリル基は、他のモノマーとつなげる鎖の役目を果たします。
また、ホスホリルコリン基は、生体に非常に馴染みやすいリン脂質類似構造を持ち、細胞膜と同様の表面を人工的に作ることができるため、人体が異物ととらえず、拒否反応を起こさないことが特長です。
当社は、用途に応じた多種多様なLIPIDURE®を一貫して製造する商業プラントを、世界でいち早く完成させました。

LIPIDURE®には大きく3つの機能(1:親水性、2:刺激緩和、3:抗血栓性)があります。

LIPIDURE®の親水性

LIPIDURE®は極めて高い親水性を持つ素材です。

図3 LIPIDURE®の親水性

(A. Takahara, et al., Int. Symp. Nano-bio-Interfaces Rel. Mol. Molecular Mobility, Program and Abstracts Book, 25-26, (2009)より抜粋・改変)

図3は、各種ポリマーの親水性を評価したものです。
親水性の評価は、静的接触角を測定することにより行っています。
LIPIDURE®では1°~3°となりました。
一方、他のポリマーでは7°~45°となりました。

LIPIDURE®の刺激緩和

LIPIDURE®は刺激緩和効果を持つ極めてユニークな素材です。

図4 LIPIDURE®の刺激緩和効果(SDS:ドデシル硫酸ナトリウム)

図4は各種ポリマーの刺激緩和効果を評価したものです。
刺激緩和効果の評価は、細胞毒性を測定することにより行っています。
LIPIDURE®は添加濃度を高くするにつれて、細胞生存率が上昇しました。
一方、他の物質では添加濃度が高くなっても、細胞生存率が変化しませんでした。

LIPIDURE®の抗血栓性

LIPIDURE®は極めて高い抗血栓性を持つ素材です。

図5 LIPIDURE®の抗血栓性

(東京医科歯科大学 中林教授(現:名誉教授)、石原助教授(現:東京大学教授)らのグループによる研究 Toshikazu Y. et al., (1998), J. Biomed. Mater. Res., Applied Biomaterials 41, 15-20.より引用)

図5は、LIPIDURE®の抗血栓性を評価したものです。
LIPIDURE®を施していない人工血管は、血栓ができ閉塞しました。
LIPIDURE®を施した人工血管は、血栓が見られませんでした。

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